1965年 アメリカ 107分
監督:オットー・プレミンジャー
出演:キャロル・リンレー、 ローレンス・オリビエ
居なくなったわが子を探すサスペンス。 ★★★
行方不明者を探すという内容の映画としては、古典として有名なヒッチコックの「バルカン超特急」、それにジョディ・フォスターの「フライトプラン」などが思い浮かぶ。
本作では、ロンドンに越してきたばかりの若い母親アン(キャロル・リンレー)の娘が行方不明になる。
娘の名前がバニー。
バニーを保育園に預けて引っ越しの手続きをしたアン。
仕事が終わってバニーを迎えにいくと、保育園の人たちはそんな子は知らないと言う。
えっ?
だって、先生がいなかったから、バニーをちゃんと給食のおばさんに頼んだのよ。
モノクロの画面は引き締まっていて雰囲気も好く、展開も飽きさせない。
外国人だった給食のおばさんはこの日が退職日で、もういない。
あとは、誰もバニーを見ていないという。
それに、入園申し込みリストにもバニーなんて名前はないわよ。
え、そんなはずはない、はず・・・。
観ている者も、事態がどうも不自然だなと思わされてくる。
それというのも、行方不明になる前のバニーは一度も画面に登場していないのだ。
それに、どうもアンは情緒不安定の傾向があるようなのだ。
アンを親身に気遣う兄のスティーブンも、アンが幼い頃に空想上の友達を作ってバニーと呼んでいたと語る。
ん、バニーは本当にいた?
もしかすればすべてはアンの妄想?
アンが相談に行く警察の警部役にローレンス・オリビエ。
この警部が物腰の柔らかい、いかにも信頼できそうな人物。
アンのつじつまの合わない訴えも馬鹿にせずにきちんと対応してくれる。
さすが、サー・ローレンス・オリビエ。
皆が、バニーなんて始めからいなかったのじゃないか、と口を揃えてアンに言う。
でも、ほら、バニーが遊んでいたお人形があるわ。
今は修理に出してあるのよ。あれを引き取ってくれば、バニーがちゃんといたという証拠になるはずよ。
さあ、果たしてバニーは本当にいたのか?
いたのであれば、どうしてこんな事態になった?
地味な展開だが、飽きさせることはなく、物語に惹きつけられていく。これはなかなかにたいしたもの。
(以下、ネタバレ)
終盤は緊迫したサスペンスとなっていく。
まさか、あの人がこんな事をするなんて。こんな本性だったなんて・・・。
すっかり騙されていたなあ。