1961年 フランス 102分
監督:ジャン・ベッケル
出演:ジャン・ポール・ベルモンド、 クリスティーネ・カウフマン
フレンチ・ノワール。 ★★
原作者のジョゼ・ジョヴァンニは、本人もその筋の人物だったとのこと。
この映画は彼が実際に話を聞いた男の物語で、後年に彼自身が監督を務めて「ラ・スクムーン」のタイトルでリメイクしている。主役は今作と同じJ.P.ベルモンドだった。
ラ・スクムーンとは、”破門された人”と言うほどの意味らしい。
名うてのならず者のロッカ(ジャン・ポール・ベルモンド)。
冒頭であっという間の早撃ちを見せ、拳銃の名手ということをわからせる。
フレンチ・ノワールものの雰囲気もよく出ていて、出だしは好調だった。
彼は無実の罪で逮捕された親友のグザビエを救うためにマルセイユにやってくる。
グザビエを陥れた男を殺し、彼の情婦を自分の女にして店も乗っ取ってしまう。
ま、ならず者なのだよ、ロッカは。
そんな彼は店のみかじめ料を強要してきたならず者グループと争い、相手を射殺して逮捕される。
ここまでが第1幕。
さてグザビエと同じ刑務所に収監されたロッカ(これを狙ってわざと逮捕されたのかどうかは、よく判らなかった)。
刑務所ぐらしの様子が描かれるが、この中盤が有り体に言えば中だるみだった。
独房での意地悪な看守とのやりとりとか、雑居房での生活とか。
さて、グザビエにはジュヌビエーブ(クリスティーネ・カウフマン)という美しい妹がいて、時折り面会にやってくる。
彼女はロッカを愛しており、ロッカも彼女を妹のように可愛がっていた。
刑務所を出てきたら3人で一緒に暮らしましょ。
ここで映画は突然、地雷撤去のハラハラ・サスペンスとなる。
減刑の条件で囚人たちに不発地雷の発掘作業の募集がおこなわれ、ロッカとグザビエも参加するのだ。
作業を少しでも間違えれば地雷は爆発し、この危険な作業に従事した多くの囚人が死んでいく。
(地雷の除去作業ってあんな事をするのかと初めて知った)
確かに緊迫感のある場面なのだが、これ、ノワールものだったよなあ。
ここまでと違う映画のようじゃないか。
どうも物語が上手くつながっていないなあ。
で第2幕が終わり、最終章は出所した二人となる。
ロッカ、グザビエ、そしてジュヌヴィエーヴは3人で暮らし始め、農場を購入して平穏に暮らそうとする。
しかし購入資金が足りない。
で、グザビエは単身で組織に乗りこみ、ボスを脅して金をせしめる。
しかし、その金を奪い返しに来た組織との争いの最中に、ジュヌヴィエーヴは撃たれて死んでしまう。
ロッカとグザビエだけが立ち会っている寂しいジュヌビエーブの埋葬。
そこで映画は唐突にFinの文字がでて終わっていく。・・・へ?
実話を基にしているからなのだろうが、各エピソードがうまくつながっていなかった。
リメイク作もほとんど同じ筋立てで、似たような印象だった記憶がある。
せっかくベルモンドが出ていて、出だしは雰囲気もよかったのに、残念な作品だった。