2011年 フランス
監督:オリビエ・マルシャス
出演:ジェラール・ランパン
男の友情ノワールもの。 ★★☆
フランス・ノワール映画として好かった「あるいは裏切りという名の犬」のオリヴィエ・マルシャル監督の作品。
ということで、邦題も似たような付け方にしている(原題は「リヨンの男たち」)。
今は引退して平穏な日々を送っている元ギャングのモモン(ジェラール・ランバン)。
彼は、幼なじみの親友セルジュ(チェッキー・カリョ)が逮捕されたことを知る。
セルジュが刑務所に送られれば、これまでの恨みを持っている悪党一味によって殺されてしまうことが明らかだった。
そこでモモンは、刑務所に送られる前の彼を警察から奪還しようとする。
子供にも7人の孫にも恵まれて、すっかり落ちついた生活を送っている初老の元ギャング。
妻も、家族のことを思ってもう無茶なことはしないで、とモモンに懇願する。
わかった、もう無茶をする歳じゃない、心配しなくていいよ。
しかし、幼なじみのセルジュが殺されるのを黙って見ていられるか・・・。
静かで寡黙な主役のジェラール・ランバンが、実に渋い。
深い彫りの皺がこれまでの人生の影を作っているようで、どこか沈んだ雰囲気を漂わせる。
家族か、親友か・・・。俺の人生はどちらを選ぶ?
物語は、単に警察からのセルジュ奪還だけではない。
モモンとセルジュが2人でこれまで送ってきた過去も振り返られる。
ロマ族(少数民族でジプシーの一部でもあるようだ)だったことから苛められていた少年のモモンを助けてくれたセルジュ。
それから2人は組んで強盗をしたりしながら成長してきたのだったが・・・。
(以下、ネタバレ気味?)
最後、明らかにされた過去のある事件の真相がある。
セルジュを匿っている場所へ一人で向かうモモン。
手にした拳銃には1発だけ玉を詰めて・・・。
かつてのフランス・ノワールものの雰囲気を受けついだ渋い、男の映画である。
かつてのジャン・ギャバンやアラン・ドロン、ジャン・ルイ・トランティニヤンなどの映画が好きだった人にはお勧めです。
それにしても、この邦題は酷い。酷すぎる。
途中まで観れば、この邦題から結末が予想されてしまうではないか。
格好好いと思って付けたのだろうが、配給会社の担当者の無能ぶりが露呈されているぞ。
余談だが、アラン・ドロンのギャング映画に「友よ静かに死ね」というのがある。
こちらはちょっとコミカルなタッチで、ドロンの映画としては駄作だと思っています(汗)。