あきりんの映画生活

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「鳩の撃退法」 (2021年)

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2021年 日本 119分
監督:タカハタ秀太
出演:藤原竜也、 風間俊介、 土屋太鳳、 西野七瀬

斜めに構えたサスペンスもの。 ★★★☆

 

原作は佐藤正午の同名小説(未読)。
原作は文庫本では上下巻ある長編なのでかなり削ったのだろうけれど、さて、この後どうなるのだろう?と退屈させない展開だった。
ただ、登場人物がかなり錯綜するので、集中してみないと取り残されてしまうかも・・・(汗)。

 

かつては直木賞も受賞したのに今はバーテンダー暮らしをしている津田伸一(藤原竜也)。
ついに俺様は新作を書きはじめたぞ、今度の小説は傑作になるぞ。
彼はバーにやって来た担当編集者の鳥飼(土屋太鳳)に書きはじめた小説を読ませて感想を求める。
それは、津田本人を主人公にした物語だった。

 

この映画は、津田が書きかけているその小説の内容を実写で映す。
ああ、これは小説のなかの出来事ね、と思いながら映画を観ていくのだが、次第にややこしくなる。
というのも、その津田の小説には現実のモデルがいて、その人物たちも映画に登場してくるのだ。
今映っているのは現実世界のこと? それともそこから津田が妄想した小説世界でのこと?

 

作中の津田は富山でデリヘルの送迎ドライバーをしている。
そして深夜のコーヒーショップで本を読むバーのマスターの秀吉(風間俊介)と知り合うのだが、彼は不意に失踪してしまう。
何が彼の身の上に起こったのだろうか?
行きつけだった古本屋のじいさんが死んで津田は一つのトランクを遺品としてもらった。
そうしたらその中には3,003万円が入っていた。
このお金は何だ?

 

そんな内容の書きかけの小説を編集者の鳥飼は面白く読む。
でも、この小説はフィクションなんでしょうね。実際の誰かのプライバシーを侵害したりはしていないでしょうね?

 

作品の舞台が東京ではなく富山という設定が好かった。
人々の関わり合いの範囲がそれなりに限られている印象を上手く取り込んでいた。
その街を裏で仕切っている謎の人物が倉田健次郎(豊川悦司)。謎の多い人物像。
そして津田の行きつけのコーヒーショップ店員に西野七瀬
つい先日は「孤狼の血 LEVEL2」で観たばかりだったが、記憶に残る女優さんになってきていた。

 

主役の藤原竜也はいつものデカ顔で上手い。
少々自分勝手な俺様キャラの雰囲気で、計算高いようでいて行き当たりばったりな面ももっている。
要するにどこか憎めない愛敬をもったお騒がせ人物。
いいねえ、ファンだよ。

 

トランクに入っていた1万円札を津田が自販機で使おうとすると、あれ?使えない。これ、偽札?
何気なく本に挟んだ3枚の偽札は秀吉の手に渡り、彼はそれを前借りしに来た従業員の女の子に渡し、彼女は金が必要になったという彼氏に渡し、その彼氏はデリヘルの支払いに使い・・・。
こうして3枚の偽札は転々と持ち主を変える。
これ、小説の中の出来事だよねえ?

 

小説の中の失踪事件と偽札事件はどう結びつくのよ? これからどうなるのよ?
編集者の鳥飼が津田に確かめる。津田が答えて、さあ、どうしようかなあ・・・。

 

予告編ではしきりに、書くと事実になる小説、みたいに煽っていたが、ちょっと違った。
事実の断片だけを見て、そこから導き出されるであろう物語を考えて小説に書いたら、おや、真実にたどり着いてしまったぞ、という感じ。
どちらかと言えば、探偵の謎解きを小説を書くことによってやってみた、という感じだった。

 

めまぐるしく物語が展開して楽しめた。
混乱させられた内容だったが、最後まで観ると、なんとなく伏線が回収されている感じで、なんとなく納得させられる。
うんうん、そうだったのか・・・、ん?

 

(以下、ネタバレ)

 

しかし、何となくしっくりとしないところもあるんだよなあ。
結局は3枚の偽一万円札がトラブルの元なのだが、その3万円がぐるぐると回って騒動を引き起こしていた。
あの偽札3万円は誰がどうして本物3000万円に混ぜた?
倉田って本当は何者? 実在している?

 

私がなにか見落としているのかもしれない。
DVDになったら再見するか、それとも原作を読んでみようかな。