あきりんの映画生活

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「勝手にしやがれ」 (1959年) ヌーヴェル・ヴァーグの代表作

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1959年 フランス
監督:ジャン・リュック・ゴダール
出演:ジャン・ポール・ベルモント、 ジーン・セバーグ

ヌーヴェル・ヴァーグの代表作。 ★★★☆

 

ゴダール長編映画第1作。
商業娯楽映画の概念をひっ繰り返したヌーヴェル・ヴァーグの記念碑的作品とも言われている。
たしかに当時の映画事情からすれば、なんだ、こりゃ?!だっただろう。
脚本はゴダール本人だが、原案はトリュフォーとのこと。

 

警官を殺してパリに逃げて来た自動車泥棒のミシェル(ジャン・ポール・ベルモンド)。
アメリカ人の恋人パトリシア(ジーン・セバーグ)と束縛のない関係で享楽的な日々を過ごしている。
そんなある日、彼の元に警察の手が及んでくる。
パトリシアはミシェルの愛を確かめる為、彼の居場所を警察に密告する。そして彼にも警察が追ってきた事を伝える。

 

まあ、あらすじだけ言ってしまえば、ただこれだけの映画である。
だから映画としては、何を描くかと同時に、いかに描くか、が大きな意味を持っているのだろう。

 

映画手法としては、ジャンプカットがはじめて使われたのは本作ということになっている。
これは同一アングルで撮った映像の途中を省略してしまうもの。
時間軸が跳んでしまうわけで、独特の混乱とスピード感を出したといわれている。
いかにも不自然な、わざとらしい雰囲気がでることに成功している。
ゴダール監督は、上映時間が長くなりすぎたので適当にフィルムの間を切ったのさと嘯いたとか。本当かな。

 

その他にも手持ちカメラを多用したり、現場での即興での演出をどんどん取り入れたり、また隠し撮りなどもしたようだ。
それに、あらゆる場面で言葉が溢れている。
だからひとつひとつの言葉は実体を指し示すことなく流れ去っていくよう。

 

白黒の画面はどこをとっても物語性を孕んでいるようで、お見事。
どの画面もお洒落な絵葉書になりそう。
そういったところは、ゴダールの感性は初めから並ではなかったのだなと思わせる。さすが。

 

有名な最後の場面。ミシェルは最低だと呟いて、自ら目蓋を閉ざして死んでいく。
その言葉を聴いたパトリシアは画面(観客)に向かって、最低ってどういうこと?と尋ねる。
最後までお洒落な映画だった。

 

ベルリン映画祭で銀熊賞をとっています。
このあと、ゴダール監督は同じジャン・ポール・ベルモンド主演で傑作「気狂いピエロ」を撮ります。