2013年 インド 152分
監督:ビジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
出演:アーミル・カーン、 カトリーナ・カイフ
アクションと歌とダンス。 ★★★
インド映画だが舞台はシカゴ。
この地でインド大サーカスを興行しているサーヒル(アーミル・カーン)が主人公。
ここでのサーカスとは、普通に我々が想像するような大テントで動物達がいろいろな芸をするものではなかった。
劇場の舞台上でさまざまなアクロバティックな技をくり広げるショー、というものだった。
そしてサーヒルには、金庫破りという裏の顔があった。
彼は、幼い頃に父を破滅に追い込んだ銀行に恨みを抱いており、その復讐として金庫破りを繰り返していたのだ。
高層ビルからも曲芸的な体術で脱出し、黒いバイクで逃走してしまうサーヒル。
アーミル・カーンはこのときアラヒフだったはずだが、アクションをこなす肉体のすごいこと。
大胸筋の厚さなんて、うっとりしてしまう。
なんでもこの映画のために2年間は専属トレーナーをつけて肉体改造をしたとのこと。
眼力もすごく、「きっと、うまくいく」のときのほのぼのイメージを払拭している。
さて、まったくお手上げ状態のシカゴ警察は、現場に残されたメッセージから犯人をインド系と確信し、インドNo.1の刑事コンビに捜査協力を依頼する。
で、シカゴにやってきたジャイとアリはさっそく捜査を開始する。
切れ者刑事とボケ刑事のコンビで、なかなか魅力的に描かれている。
原題に”第3弾”といった記述が付いていたので、あれ?
調べてみたら、この映画は2人の刑事コンビを主人公にしたシリーズもののひとつだった。
サーヒルはこのシリーズのゲストといった立場だったんだ。主役は刑事コンビの方だったのだ。
道理で刑事たちが好く描かれていると思った。
バイク・チェイスもすごい。
要するに「ワイルド・スピード」に「グランド・イリュージョン」を合わせて、おまけに007を振りかけたような映画。
007も顔負けの変形するバイクなんて! さすがインド映画だっ!
そりゃあ2時間半越えでも退屈する暇はないよ。
もちろんサーカス団に入ってくる美女アーリア(カトリーナ・カイフ)も登場する。
その美女とアーミル・カーンの、インド映画お約束の歌と踊りもしっかりとある。
舞台でのショーといったかたちでおこなえるので、それほど唐突感はなしに楽しめるようになっている。
この映画はそれまでのインド映画最大の制作費だったとのこと。
そして大ヒットをして、あの「バーフバリ」が登場するまでは興行成績第1位だったとのこと。
そうか、派手な見所の多い映画だったものね。
ということで派手派手映画だったのだが、ちょうど中頃の”インターミッション”から展開が大きく変わる。
なんと、少し切ない人間ドラマの要素が入ってくるのだ。
(以下、後半のネタバレ)
実はサーヒルの大胆なトリックには大きなネタが隠されていたのだ。
彼は、双子だったのだ!
その双子の弟がいることを誰にも知られないようにして、彼はアリバイを作ったりして復讐をすすめていたのだ。
陽の当たる部分を受け持つ兄、そして陰で兄の活躍を支える弟。
今まではその役割に不満を持つことのなかった弟なのだが、アーリアに恋をしてしまったことから物語が大きく転換する。
舞台で兄と楽しげに踊るアーリア。自分だって表に出てアーリアと踊りたいぞ。
さあ、双子のトリックを見抜いた切れ者刑事は、親しげに弟に近づいていくぞ。
さあ、物語はどうなる?
アクション満載、歌と踊り付き、に、ちょっと切なくなるような人間ドラマもからめて、大作だったなあ。