あきりんの映画生活

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「デューン 砂の惑星」 (2020年) 宇宙の一大ドラマ

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2020年 アメリカ 155分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
出演:ティモシー・シャラメ、 レベッカ・ファーガソン、 オスカー・アイザック、 ハビエル・バルデム

一大SFドラマ。 ★★★

 

私がドゥニ・ビルヌーブ監督に惹かれたのは「灼熱の魂」だった。あの衝撃的な物語には打ちのめされた。
しかし彼はその後は、あれよあれよとSF映画の巨匠となってしまった。
斬新な映像にはたしかに素晴らしいものがあるのだが、私が監督に当初に期待していたものとは随分と違った方向に行ってしまった。
ちょっと残念な気もする。

 

それはともあれ。
原作は言わずとしれたフランク・ハーバートのSF巨編である。文庫本で6冊ぐらいの長さではなかっただろうか。
かってはアレハンドロ・ホドロフスキー監督が映画化を試みて未完となっている。
そして1984年にはデヴィッド・リンチ監督がカイル・マクラクリンを主人公にして撮っている。
ドゥニ・ビルヌーブ版はどううだ?

 

物語は宇宙年代史とでも言うべきものなので、かなり複雑である。
中世の王国争いと、未開の地での冒険ファンタジーと、それに未来世界をミックスしたようなものとなっている。

 

眼目は“デューン”と呼ばれる砂の惑星アラキスで算出されるスパイス。
このスパイスは、生命を延ばし、精神的な能力を高め、さらに宇宙航行にも必要な物質なのである。
すごい物質なのである。
で、誰がアラキスを統治するか、誰がスパイスを管理するか、が対立する王国の勢力争いに大きく影響するのである。
しかもアラキスは未開の星で、星の大部分を占める砂漠には巨大生物サンドワームが生息し、謎の先住民族フレメンもいるのである。

 

主人公の、アラキス統治を指名されたアトレイデス家のポール役にティモシー・シャラメ
彼は初めて観たような気がするが、ちょっと中性的な雰囲気を備えた美青年である。
そして彼と一緒に活躍する母ジェシカ役にレベッカ・ファーガソン
私は彼女のファンなので、この凜としたたたずまいでの活躍は嬉しいことだった。

 

映像はすばらしい。
荒涼とした風景の上空に静かに静止する縦長の宇宙船(横長でないところがすばらしい造形である)、激しい風で砂が吹き飛ばされ続けている砂漠、など、これまでのビルヌーブ作品でも目にしてきた映像が拡がる。
ビルヌーブ監督のSF映画の美意識はこういったところにあるのだろう。
どことなくアナログ感のある羽ばたき飛行機には感心した。これもすごい美意識だ。

 

主人公たちを助ける砂漠の民・フレメンの瞳は美しい青色をしているのだが、これは水の色であろう。
この惑星で生きるためにもっとも大事なものの色である。
砂漠の民自身が心に水を内包していたと考えるのは、ちょっとうがち過ぎか。

 

今作は「Part One」と謳っている。その通りに、物語の前編というところで終わっている。
ジェシカも所属しているベネ・ゲセリットという(超能力宗教的な?)謎の組織や、彼女らが待望しているクウィサッツ・ハデラックという救世主(?)も、まだ十分には全貌を現さなかった。
ちょっと物足りない。やはり続編をみてから正当な評価がなされるべきだろうと思ってしまった。

 

ということで、現時点での私の評価は、続編に期待、というものになってしまった。
続編の公開はいつだ?