あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「守護神」 (2006年) 嵐の海での海難救助隊

f:id:akirin2274:20220222175046j:plain

2006年 アメリカ 138分
監督:アンドリュー・デイビス
出演:ケビン・コスナー、 アシュトン・カッチャー

海難救助隊の活躍。 ★★★

 

海難救助隊というと、日本では海上保安庁に属していてドラマ「海猿」に描かれていた(観ていないけれど)。
それに比べて、アメリカの沿岸警備隊はどちらかといえば軍隊に準じる組織のようだ。
この映画は、伝説のベテラン救難士と、彼が反目もしながらも育てた若手救難士の活躍を描いている。

 

ベン(ケビン・コスナー)はこれまでに200名以上もの遭難者の人命を救ってきた救難士。誰もが一目置いている存在。
しかし、彼は任務中に相棒を失ったことがトラウマとなってしまった。
しばらくは現場を離れて、君の能力を若手育成に役立ててくれないか。
ということで、彼はレスキュー隊員のエリートを育成する”Aスクール”の教官となる。
そこへ抜群の水泳能力を持つ訓練生フィッシャー(アシュトン・カッチャー)が入学してくる。

 

冒頭の嵐の海での救難活動場面はすさまじい迫力である。
あんな風と波の中での救助活動なんて、一歩間違えば自分が遭難してしまう。
よほどの使命感がなければとてもできることではない。
初めにあのすさまじい状況下での救難活動を見せておいたので、この後に続くAスクールでの厳しい特訓も、なるほど、これぐらいはやっておかなくてはあの仕事はできないなあ、と思わせるわけだ。

 

その中盤のA級学校での訓練場面はやや長く、少しだれた感じもした。
しかしその訓練方法は、知らないことばっかりだったので、へえ~と感心もした。
たとえば、1時間水の上に浮かんでろ!とか水面下の重りを二人で押せ!(どちらかが呼吸をするために水面に浮上している間は重りを押してはいけない)など。
それに、救助に向かった相手にしがみつかれて水中に引きずり込まれたときの対応とか・・・。
なるほど。

 

その訓練課程でベンとフィッシャーは反目し、そしてやがて相手を理解し合う。
終始、ケビン・コスナーが渋い。
常に冷静で良識ある行動を取る。それでいて時折見せるくだけた振る舞いが人間性をあらわしているのだ。上手い。

 

やがて卒業したフィッシャーは、ベンが所属するアラスカへ赴任し、ともに働くことになる。
そして共に救助に向かった際に限界を感じたベンは、後をフィッシャーに託して退職を決意する。
鬼教官が世代交代して自分が育てた後輩に託して去って行く、これでめでたしめでたし・・・?

 

職場を去ろうとするベンにフィッシャーが尋ねる、「本当は何人助けたのですか?」
ベンが答える、「22人だ。」
それを聞いたときに、あれ、意外に少ないんだなと思ったのだが、それに続く答えがすばらしかった。
「22人助けられなかった。助けた人数は覚えていない。」

 

ベンのリタイアで映画は終わるのかと思っていた。なにかあまりすっきりしない終わり方だなと思っていた。
しかし違った。そこからに見せ場があった。

 

(以下、ネタバレ)

 

夜間救助の要請が入り嵐の海で沈没しそうな漁船にフィッシャーが向かう。
しかし絶望的な状況での応援が必要となり、交代の救助ヘリが飛ぶことになり、居合わせたベンが乗り込む。

 

ここからの沈みかける船での救助場面は、まさに手に汗握る展開となる。
やっとのことで一緒にヘリからのロープにぶら下がるベンとフィッシャー。
しかしそのロープは裂けかかっており、二人の体重は支え切れそうになかったのだ・・・。

 

映画の冒頭で”海の守護神”の伝説が語られていた。
映画の最後にもう一度その守護神の話が出てくる。そうか、そういうことだったのか。

 

物語としては王道の展開ですが、救難シーンの迫力は半端ではありません。
その迫力と、後はケビン・コスナーの渋さを堪能する映画です。