2022年 アメリカ 127分
監督:ケネス・ブラナー
出演:ケネス・ブラナー、 ガル・ガドット、 エマ・マッケンジー、 アーミー・ハマー
クリスティ原作の推理もの。 ★★☆
原作はアガサ・クリスティのエルキュール・ポワロもののひとつ、「ナイルに死す」。
かつてはジョン・ギラーミン監督で1978年に映画化されている。
このときのポアロ役はピーター・ユスティノフだった。
今回は監督兼ポアロ役をケネス・ブラナー。さあ、どうだろうか。
もちろん原作も読んでいるし、前作も観ている。
物語のあらすじは知っているし、犯人も知っている。だから眼目は、ケネス・ブラナーがどんな風に映画化したのか、というところ。
舞台はナイル川観光をする豪華客船。
そこでおこなわれているのは、大富豪の娘リネット(ガル・ガドット)と彼女に見そめられた逆玉の新郎サイモン(アーミー・ハマー)の結婚祝い旅行。
しかし、乗客のほとんどはリネットに何らかの殺意を抱く者ばかり。
中でも重要人物は、婚約者だったサイモンを親友のリネットに横取りされたジャッキー(エマ・マッキー)。
親友だと思っていたのに私の婚約者を奪うなんて、絶対に許せないわ。
それにお金に目がくらんで私からリネットに乗り換えるなんて、サイモン、あなたも許さないわ。
船に乗り合わせているのは、他には、不正がばれそうなリネットの財産管財人や、リネットにふられた医者などなど。
そしてリネットが殺される。
この閉ざされた船の中の誰かが犯人だということになり、乗り合わせたポワロ(ケネス・ブラナー)が”灰色の脳細胞”を働かせるわけだ。
結論から言えば、あまり観るべきもののない映画だった。
たしかにナイル川の遺跡や大自然をめぐる映像は美しい。
リネット役のガル・ガドットは相変わらず華のある美しさ。
それに、当世の風潮を受けて、黒人の歌手がいたり、レスビアンのおばさまたちもいる。
しかし、わざわざリメイクしたほどの値打ちを見つけられなかった。残念。
前作では、リネットに恨み骨髄のジャッキー役のミア・ファローがとにかく好かった。
病的なまでに執念深くつきまとう様が実に不気味なほどだった。
今回のエマ・マッキーは、それに比べると普通の可愛い女子すぎた。
いっそうのこと、リネットとジャッキー役を入れ替えていたらどうだったろうと考えた。
ガル・ガドットが病的にやつれたようなメイクをしてジャッキー役を演じたら、面白かったのではないだろうか。
これは前作を観た者の感想ということである。
前作は40年近く前の作品であるし、それを知らない人も少なくないだろう。
そんな人には充分に楽しめる映画、なのかな・・・。