あきりんの映画生活

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「クライム・ゲーム」 (2021年) ドン・チードルとデル・トロ、渋いよ

2021年 アメリカ 115分
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ドン・チードル、 ベニチオ・デル・トロ

大きな陰謀のサスペンス。 ★★★☆

 

舞台は1950年代のデトロイト
当時のデトロイトと言えば、黒人などの貧しい人も多いスラムが多く、また一方では自動車産業の中心地だった。
こうしたことが絡んだ一大陰謀のサスペンス映画。

 

金が欲しい黒人ギャングのゴインズ(ドン・チードル)に、マットという奴の金庫から書類を盗み出してくれ、との依頼が来る。
なに、相手をちょこっと脅して取ってくるだけだよ。礼ははずむぜ。
ゴインズは同じように雇われたロナルド(ベニチオ・デル・トロ)とチャーリーと3人でマットの家に向かう。

 

やっとマットに金庫を開けさせたのに、あれ、空っぽだ。どうする?
仕方なく3人は文書の偽物をダグに依頼した人物に渡そうとする。これで騙そうぜ。
しかし、チャーリーは突然マットとその家族を皆殺しにしようとする。
おい、お前、何をするんだ、そんな皆殺しにしようとするなんて!
で、ゴインズとロナルドはチャーリーを射殺してしまう。
えっ、これ、どうなっているんだ? これからどうなるんだ?

 

監督は、周りの思惑を気にせずに自分の撮りたいように映画を撮ると言われているソダーバーグ。
だからこの映画も一筋縄ではいかない。
登場人物がややこしく絡んでくる。

 

次第に状況は混迷を来してくる。
基本的に事件に巻き込まれていくゴインズの視点で物語が進む。
だから観ている者も同じように、これはどうなっているんだ? これからどうなるんだ? とハラハラしながら映画を観ることになる。

 

実は、その文書にはデトロイト自動車産業に大きな影響を及ぼすような情報が書かれていたのだ。
その書類を入手したマフィアは自動車業界を強請ったのだが、自動車業界と結託した政府機関が書類の奪還をはかった・・・。
怖ろしい文書の争奪戦だな。
もうチンピラ・ギャングが個人でどうこうできるレベルの話ではないぞ。

 

ドン・チーゲルは味のある役者。その役になった人物が抱えている人間性といったものを感じさせる。
演じている人物像がリアルに感じられる。大したものだ。
それにお気に入りのベニチオ・デル・トロ
彼が出てくると物語に深みが出るんだよね。

 

ちょっとだけ出てくる脇役陣に、マット・デイモンジョン・ハムレイ・リオッタブレンダン・フレイザー
なんて豪華なんだ。
この作品がどうして我が国未公開だったのだろう? あまりにも淋しい話だ。

 

たしかに渋い映画。渋すぎて、一般受けはしないと思ったのだろうか。
誰かが"ソダーバーグ版パルプフィクション"と評していたが、言い得て妙。
映画に派手なところはない。地味である。
しかし、ドン・チードル、デル・トロ、この主役二人の持ち味で魅せてくれる。大満足だよ。

 

この内容だったら、派手にしようと思えばいくらでも出来ただろうに、それをしないところがソダーバーグたる所以か。
邦題に騙されないように。