あきりんの映画生活

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「モガデシュ」 (2021年) 対立する南北朝鮮の外交員たちは・・・

2021年 韓国 121分
監督:リュ・スンワン
出演:キム・ユンソク、 ホ・ジュノ

内戦国からの脱出劇。 ★★☆

 

ソマリアで内戦が勃発したのは1990年だった。
当時、韓国は国連への加盟を目指してアフリカ諸国でその政治工作を展開していた。
ソマリアの首都モガディシュでも、韓国大使ハンがソマリア政府の支持を取り付けようとしていた。

 

しかし、同じように国連加盟を目指していた北朝鮮も必死。
両国は互いに相手の工作の邪魔をし、情報操作が入り乱れていた。
そんな折にソマリアで内戦が始まってしまい、モガデッシュ市内には銃声がとどろき、焼き討ちや略奪の惨状となる。

 

ということで、この映画は内戦に巻き込まれてしまった韓国の外交員たちのソマリアからの脱出劇をえがいている。
しかし情勢は悪化するばかり。
大使館は治外法権のはずだが、荒れ狂う反乱軍たちがそんなことを守るはずがない。
そこで、韓国は報酬を払ってソマリア武装警察隊に大使館を守ってもらう。やるなあ。

 

そしてこの映画のキモは、対立する南北朝鮮の2国の絡み合い。
北朝鮮の外交員たちも必死にソマリアからの脱出を試みる。
しかし北朝鮮大使館は攻撃され、北朝鮮の外交員たちは必死に戦闘状態の街中を逃げ惑う。
そしてかろうじて武装警官隊が守っている韓国大使館に助けを求める。

 

韓国政府にしたら、北朝鮮の外務官を助ける行為なんて祖国への裏切りに等しい。
それは北朝鮮側にしても同じ。いや、もっと厳しいかもしれない。
敵国に助けを乞うなんて、あってはならない行為のはずだった。
しかし、しかし・・・。

 

このあたりの韓国、北朝鮮の外交官たちの葛藤は、日本人には本質的には理解できない。滑稽にすら見える。
命の危険が迫っているこの情勢で、何が国のメンツだ?と思ってしまうのだ。
しかし、どちらの国の当事者にとっても、命を守るために取った大変な譲歩なのだろう。
そのあたりが韓国で大ヒットした一因でもあるのだろう。

 

クライマックスは、両国の外交員たちが協力して、4台の車で、戦場と言ってもいい街中を空港に向かって走行する場面。
せめてもの防御にと、車には窓からルーフからすべてに寄せ集めた本を貼り付けている。
反乱軍は容赦なく銃弾を浴びせてくる。
果たして最後の輸送機が飛び立つまでに空港に無事にたどり着けるのか。

 

(以下、最終場面へ)

 

なんとかソマリアから脱出した飛行機は、北朝鮮が国交を回復していないエジプト(だった?)に到着する。
さあ、ここまで共闘してきた両国の外交員たちはどうする?
戦闘状態から脱すれば、両国の外交員たちはまた敵同士に戻るわけだ。どうする?

 

そうか、そういうことだよね。
ほっこりとする結末だった。好かったね。