2005年 韓国
監督:パク・クァンヒョン
戦時下のヒューマン・ドラマ。 ★★★
舞台は1950年代の朝鮮戦争時の山奥の村、トンマッコル。
戦争中の北朝鮮の敗残兵3人と、韓国の脱走兵2人が、この村へ彷徨いこんでしまう。
ところがこの村の住人たちは外の世界との交流もなく、人を疑うことも、ましてや人と争うことも知らない人たちだった。
敵対する兵士たちは、始めのうちは寝込みを襲われるのではないかと、それぞれの武器を手にしてにらみ合いをつづける。
村人たちは、そんな彼らを、何をしているんだ?といった風に呆れかえってみている。
この映画では、そんな無垢な心に接した兵士たちが、次第に争うことの無意味さに気づいていく。
まるで、旅人のコートを脱がせるのには冷たい風を吹きつけるのではなく、温かい日差しで包んでやればいいのさ、という逸話と同じ。
疑うことを知らず、何事も善意に解釈する村人たち。
そんな人たちと接していれば、自ずからわが身も善人になっていくというもの。
そんな様子をユーモアを交えて描いていく。
やがては北朝鮮の兵士も韓国の兵士も、一緒に村人たちの農作業を手伝うようになる。
しかし、よかった、よかった・・・だけでは物語は終わらない。
(以下、ネタバレ)
実はこの村には遭難したアメリカ軍のパイロットも一人助けられていたのだ。
アメリカ軍は、このあたりに敵の基地があるに違いないと推測して、爆撃をしようと計画する。
その計画を知った南北朝鮮の兵士たち、こんな平和な村を爆撃させるわけにはいかないぞ・・・。
ここからは、身を呈して村を守ろうとする彼らの悲愴なアクション場面となる。
村の人々によって心まで助けられた兵士たちは、今度は村の人たちを助けたわけだ。
無垢な山村の人々の気持ちが世界中に広がれば、戦争なんてなくなるのに。
音楽は久石譲。
韓国映画というと感情を逆撫でしてくるような激しいものを思いうかべがちだが、このような穏やかな映画もあったのだな。
観る人を善人にしてくれるような、そんな映画です(笑)。