あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「バーニング・オーシャン」 (2016年) 海上施設は火の海、逃げ場はないぞ

2016年 アメリカ 107分
監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォールバーグ、 カート・ラッセル、 ジョン・マルコビッチ、 ケイト・ハドソン

災害パニックもの。 ★★☆

 

冒頭に、事実に基づいた作品、とのテロップが出る。
この映画は、2010年にメキシコ湾沖で発生した海底油田爆発事故を題材にしている。
アメリカ史上最大規模の事故だったとのこと。
日本でも大きく報道されたはずだが、私はあまり覚えていなかった。

 

メキシコ湾沖約80kmの石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾン(この名称が映画の原題にもなっている)が舞台。
この施設は海底に固定されているのではなく、巨大な船である。
だから絶えず潮流とかを計算して、施設を一定の位置に留めなくてはならない。
その操縦技師もちゃんといる。

 

冒頭で、これから21日間の勤務に就くマイク(マーク・ウォールバーグ)が、その施設へ仲間と共に大型ヘリコプターで向かう。
なるほど、こうやって沖合の施設に向かうのか。

 

施設では、運営している親会社側の人間(ジョン・マルコビッチ、など)は業務が予定より遅れているとして、安全検査をないがしろにしようとする。
この施設は大丈夫だ、早く作業を進めろ!

 

現場主任のジミー(カート・ラッセル)は、それに抗って必死に施設の安全を確かめようとするのだが・・・。
圧力の計測データがおかしいとジミーが抗議しても、親会社は、測定誤差だろう、問題ない、事故など起こるはずがない、さあ、作業をつづけるんだ。
ジョン・マルコビッチがぎょろっとした目で嫌味ににらみつける。うまいなあ。

 

そうなのだ、経営会社は常に利益第一で、施設の点検補修や危機管理は二の次にしようとする。
今回の大事故の原因も、危機意識の薄さから来ている。
(そういえば、どこかの国でも、安全神話のうえに安閑としていて取り返しの付かない事故を起こしてしまっている。言い訳は、想定外の事故だった・・・。)

 

さて。映画半ばから、あっという間に制御不能な強圧による汚泥の噴出が起きる。
とたちまち海底から逆流してきた天然ガスにも火が回り、施設は大火災になっていく。
必死に逃げ延びようとする人々。

 

大火災、次々に起こる爆発、崩壊していく巨大施設。
CG技術を駆使したであろう映像は迫力満点であった。
マイクも逃げ遅れかけた女性職員を助けながら火の海へダイブする・・・。

 

不幸中の幸い、というか、この事故が起きたときにすぐ近くに大型のタンカーのような汚泥
運搬船(?)が来ていたのは好かった。
この船がいなかったら、救助作業はさらに困難になっていて、死者も11人ではすまなかっただろう。

 

映画は実際にこの事故から生還した人物のその後を伝えて終わっていく。
事故に至った経緯もきちんと描いていたが、大資本企業を告発するというスタンスではなく、あくまでもパニック・エンタメ映画というスタイルだった。
実際には、この爆発事故で流出した大量の原油がこのあと大きな問題になったのだった。

 

それにしても、邦題はあまりにもチープである。
この映画に限っては、それこそ映画会社お得意の”原題そのままカタカナ表記”でも好かったのではないだろうか。