2008年 アメリカ 103分
監督:フランク・ミラー
出演:ガブリエル・マクト、 サミュエル・L・ジャクソン、 エバ・メンデス、
スカーレット・ヨハンソン
ビジュアルに凝ったアメコミの実写版。 ★★★
「シン・シティ」のフランク・ミラー監督作品。
ストーリー云々というよりも、当時革新的といわれたビジュアルを見る作品だろうな、と思いながら鑑賞。
原作は現在のアメコミの基礎を作ったといわれるウィル・アイズナー。
殉死した元警官デニー(ガブリエル・マクト)は”スピリット”となって蘇る。
どうやら彼は不死の身体になっているようなのだ。
マスクを付けて深夜の街の犯罪を撲滅するために戦い続けるぞ。
オープニングは夜の沼地での殺人事件。
「シン・シティ」でもそうだったが、画面は白黒の2階調を強調して、そこに赤の差し色を効かせている。
とてもお洒落。
やはりこの画面、この雰囲気を楽しむ映画なのだろうな。
あらわれる宿敵のオクトパスにサミュエル・L・ジャクソン。
言ってみれば、バットマンに対するジョーカーといった役回り。
彼は完全な不死を求めて、“ヘラクレスの血”を手に入れようとする。
そこに美女たちが絡む。
夜の時間しかないようなこの街には妖しげな美女が似合うのだよ。
スピリットのかっての彼女役にエバ・メンデス。
今はエロさをあたりじゅうにまき散らす悪女。こんな美女に絡まれたら、男たるもの、みんなとろけてしまうのではないだろうか。
コケティッシュな魅力だったのはオクトパスの部下(?)の科学者役に扮したスカーレット・ヨハンソン。
いつもとはかなり異なる雰囲気で、初めは誰か判らなかった。
それに時々あらわれる美女の死に神。早くこちらにいらっしゃいと手招きをするのだが、彼女もまた妖艶。
こんな死に神なら、男たるもの、みんな付いて行ってしまうのではないだろうか。
とこういった画面で見せてくる物語はというと、はっきり言ってどうでもよいような代物。
そう、この映画は物語ではないのだよ。この映画は雰囲気なんだよ。
スピリットとオクトパスはどちらも不死の身体だから、二人が争っても決着はいつまでもつかない。
なんだ、こりゃ。
そもそもが、一度死んだデニーを生き返らせたのは、自分の実験材料に使ったオクトパスのようなのだ。
最後はそれなりの決着がついて、さあ、明日もこの街のために頑張るぞ、と終わっていく。
スピリットが本気で惚れているレディとは、彼を育んだこの街なのだ、とのこと。
フランク・ミラーでなければ、他の人には作れないような映画。
かなり観る人を選びます。
「シン・シティ」が駄目だった人は、この映画も止めておかれる方がよいでしょう。