2017年 アメリカ 119分
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:チャニング・テイッタム, アダム・ドライバー、 ダニエル・クレイグ
犯罪コメディ。 ★★★
主人公は足が不自由なために炭鉱夫の仕事を辞めさせられたジミー・ローガン(チャニング・テイタム)。
彼は、戦争で片腕をなくした弟のクライド(アダム・ドライバー)、破天荒な妹メリー(ライリー・キーオ)とともに、一攫千金を企む。
とくれば、監督がスティーブン・ソダーバーグなので、宣伝文句はあの「オーシャンズ」シリーズを引いたりしているが、雰囲気はまったく違っている。
あちらはお洒落でスマートだった。一言でいえば、格好好い!
それにひきかえこちらは、ドタバタとやることなすことが冴えない。ブラック・コメディ調(苦笑)。
でも、このローガン兄弟、とても愛すべき人物たちなのだよ。
弟役のアダム・ドライバーはダサイ長髪。ちょっと拗ねた性格なのだが、とても兄思い(兄もとても弟思い)。
宇宙空間でフォースを操っている人物とは、とうてい思えない。
しかし、好い味を出している。
いまや、注目の俳優さんだなあ。
さて、ローガン三兄妹の計画は、モーター・スピードウェイの売上金の強奪。
しかしそれには爆破のプロがいなくちゃ。そうだ、服役中のジョー(ダニエル・クレイグ)を仲間に入れよう!
ということで、007がまさかの縞々模様の囚人服を着て登場。
ね、ソダーバーグ監督、やってくれますね。
ジョーの脱獄計画、そして大金の強奪計画と、なんとなく手際がよくないようなので、観ている者はハラハラさせられる。
でも、ちゃんと計画は進むのだよ。少々のことは勢いで乗り切ってしまうぜ(苦笑)。
最後の方に出てきたFBI捜査官は、おや、ヒラリー・スワンク。
こんな大物をこんなちょい役で使うなんて。贅沢な話だなあ。
挿話としては、ジミーが別れた奥さんに親権を取られた一人娘の歌もよかった。
冒頭でジミーは娘に「カントリー・ロード」の逸話を聞かせている。
最終間際、コンクールに出た娘は聞きに来てくれた父親の姿を見つけると、予定曲を変更して「カントリー・ロード」を歌うのである。
娘、可愛い。ジミー、好い父親。
ということで犯罪ものの映画なのだけれども、大金強奪者がちっとも悪人には思えない。
社会から虐げれている人たちのささやかな反抗、といった雰囲気である。
エンタメ性も充分にあって、ソダーバーグ監督の復帰作としては大成功でしょう。