あきりんの映画生活

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「テンペスト」 (2010年) 良くも悪くも舞台劇の演出?

2010年 アメリカ 112分 
監督:ジュリー・テイモア
出演:ヘレン・ミラン、 フェリシティ・ジョーンズ、 ベン・ウィショー

シェークスピア劇の映画化。 ★☆

 

このシェークスピアの同名戯曲の映画化は、これまでに何度もおこなわれている。
主人公は、奸計によって国を追われて孤島へたどり着いた元ミラノ大公のプロスペロー(ヘレン・ミレン)と娘のミランダ(フェリシティ・ジョーンズ)。
妖精や怪物を操る力を持つプロスペローが、ナポリ王やミラノ大公の乗った船を難破させて復讐を果たすというもの。

 

元は男性だったプロスペロー役を女性に代えてはいるが、物語としてはよく知られているもの。
なので、それをどのように映画化したのか、ということになる。

 

以前にデレク・ジャーマン監督が1979年に撮った「テンペスト」を観たことがあった。
あちらは徹頭徹尾おどろおどろしい雰囲気のものだった。
わざと作り物らしくしていて、唐十郎状況劇場、あるいは土方巽暗黒舞踏を想わせるようなものだった。かなりの意欲作だった。

 

その30年後に作られたこちらは、当然ながらCG技術も進歩している。
しかし、どうもそれが上手く使われていない。物語世界が妙にせせこましいのだ。
あれ、なんだか薄っぺらいなあ・・・。

 

実は、こちらの監督のジュリー・テイモアはこの戯曲をオフ・ブロードウェイで上演した時の舞台演出をしている。
そのためか、画面構成をはじめとして、全体的にいかにも舞台を観るような感じなのだ。
お芝居を観に行った人ならそれで好いのだが、映画としてはなんとも中途半端なのだ。

 

終始、舞台劇を正面から固定カメラで撮りました(実際にはもっと動いてはいるのだが)、という雰囲気がある。
いささか退屈。
妖精がCG技術で空を飛んだりするのだが、どうも幼稚っぽい。
少し知能が薄弱なのでは、と思える怪物の行動もコミカルな線を狙っているのだろうが、浮いてしまっている。

 

ありゃ、こうして書いてくると、好いところがないなあ(汗)。

 

ヘレン・ミレンはさすがに風格があった。それにフェリシティ・ジョーンズは可愛かった。
折角の役者を使っているのになあ。
プロスペローに仕える(無理矢理働かされている)妖精役がどこかでみた顔だなと思っていた。
なんとベン・ウィショーだった。なんだ、007の秘密武器を作る前はこんな仕事をしていたのか(笑)

 

最終的にはプロスペローは仇であったミラノ大公を赦してしまう。
原作がそうなのでどうしようもないのだが、なんだかすっきりしない結末なのだ。
時代も変わっているのだし、現代的に大きく変更してみるというのもありだったのでは・・・。

 

ということで、私には全く駄目な映画でした。
この映画、原作を読んだり舞台を観たりした人が観たら、評価はどうだった?