あきりんの映画生活

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「イチケイのカラス」 (2023年) 悪いのは誰だった?

2023年 日本 119分 
監督:田中亮
出演:竹野内豊、 黒木華、 斎藤工

コミック原作の裁判法廷もの。 ★★☆

 

原作は同名コミックで、TVドラマとしても放送されていたとのこと。
法廷もの映画は好きなので、コミックもTVも未読、未見のままで鑑賞。
人間関係が判るかなとの不安もあったのだが、杞憂だった。

 

主人公の裁判官・入間みちお(竹之内豊)は岡山県の裁判所に勤務している。
どうやら、何かの案件のあおりがあってこの地に来ているようだ(ドラマで描かれていたのだろう)
そして相棒だった坂間(黒木華)も(偶然にも 笑)隣町で弁護士として働いていた。

 

この二人のバディものだということはすぐに見当がついた。
こういう二人というのは、細かなところで反発し合いながらも大筋では協力して悪に対抗するんだよね。
こういうドラマの場合、コンビの善し悪し、息の合い具合で成否が分かれるよな。この二人、好い感じのつるみ具合だった。

 

この類いの作品としては、木村拓哉主演の「HERO」、そして松本潤主演の「劇場版99.9」があった。
主人公は人情派検事や弁護士で、その活躍を周りの人間模様と一緒に描く。TVドラマで一定の人気を博しているのだから、映画も大きな外れはない。
ということで、この手の映画が一定数作られるのだろう。

 

タイトルの”イチケイ”てなんだろうと思っていたのだが、東京地方裁判所第3支部第1刑事部の略称らしい。
そんなことも知らずに観ていた。しかし、なにも困ることはなかった。

 

入間は防衛大臣に対する傷害事件を担当することになる。
その背後には、自衛隊イージス艦の衝突事故があった。なぜイージス艦は事故を起こした?
一方の坂間は町を支える地元大企業の環境汚染問題に取り組む。こんな大企業の悪事を許してはいけません!

 

入間と坂間がそれぞれ事件を追及していくと、この二つの案件がリンクしていくというのが物語の大筋だった。
有り体に言って、物語そのものはTVドラマを越えるほど深いものではなかった。
イージス艦事故の方は次第に物語の背後に追いやられて、大企業の悪事告発の方も、なんかなあ、ときどき見る図式だなあ、という感じだった。

 

しかしつまらなかったかといえば、そうでもない。
登場人物たちのやりとりは楽しめるものだった。
竹野内豊は、どこかほんわかと緩いところのある人情派裁判官で、ああ、こういう人物造形もするんだ、といった新しさがあった。
それに好かったのはひたむきさ前面で頑張っていた黒木華。彼女の存在が映画をまとめていた。

 

とりたてて観なければ損をするといったほどのものではありませんが、観ている間は充分に楽しめます。