2018年 日本 134分
監督:中島哲也
出演:岡田准一、 黒木華、 妻夫木聡、 小松菜奈、 松たか子
ホラーもの。 ★★☆
ホラーものは苦手なので観るのを躊躇していたのだが、怖くないとの評判に、観ることに(笑)。
たしかに「リング」のような怖さの映画ではなかった。
というか、全く怖くなかった。あれ?
出だしは結構不気味だった。
赤い靴の幼い女の子が「呼ばれたの」「呼ばれたらもう逆らえないの」と言って山の中に去っていく。
「秀君も呼ばれるよ、嘘つきだから」の最後の台詞。そして這い回る無数の毛虫。
女の子は誰に呼ばれた?
場面は現在に変わる。
今は結婚もした田原秀樹(妻夫木聡)は妻の香奈(黒木華)と幼い一人娘の千紗と幸せに暮らしている。
しかし、身の回りでは何か不可解な出来事が続くのだ。
秀樹は妻と幼い娘を守るため、オカルトライターの野崎(岡田准一)に相談をする。
彼は日本最強の霊媒師・琴子(松たか子)の妹でキャバクラ嬢の真琴(小松菜奈)とともに調査を開始する。
と書いてくると、秀樹はいかにも好い夫、父親のように思える。
しかし、彼は実にいい加減な奴なのである。観ていて、もう、腹が立ってくるほど。
SNSには自分がいかにイクメンかという記事をアップしては喜んでいる。
そのくせ、何もしないのだ。もう腹が立つ。
映画版では、何故“あれ”に襲われるのか? の原因や、“あれ”の正体が明らかにされることは無かった。
澤村伊智の原作は「ぼぎわんが、来る」と、”来るもの”の名前も明らかにしている。
未読なので、その内容は知らないのだが、どうやら”ぼぎわん”の正体や、それが来る原因も明かされているとのこと。
出演者では小松菜奈が好かった。
「ぼくは明日、昨日のきみとデートします」ではじめて観た彼女だったが、それとはまったく違う役柄だった。
キャバ嬢で霊能者、刺青だらけのイケイケの風体なのだが、実に可愛い人物像だった。
最後の”あれ”との対決にはワクワクした。
真琴は日本中から霊能者を呼び集めるのである。
仏教あり、神道あり、民間信仰ありと、あらゆる霊能者が飛行機や新幹線で集まってくる。
さあ、この対決はどうなる? そして千紗はどうなる?
(以下、ネタバレ)
秀樹も忘れていたのだが、幼いころに山へ連れて行かれた女の子の名前が「千紗」だった。
彼が生まれてくる我が子に同じ名前を付けてしまったのは、やはり”あれ”がそうさせていたのだろうか?
そして、物語の展開で驚いたのは、なんと途中で秀樹が死んでしまうこと。
あれ? 秀樹は主人公ではなかったのか?
そして、秀樹の死後に千紗を育てていた香奈まで死んでしまうこと。
あれ? じゃあこの映画の主人公は誰だったんだ?
本格ホラーではなく、得体の知れない怖さというのはほとんど感じなかった。
しかしこれからどうなるのだろうという物語の面白さは充分にあった。