2021年 韓国 108分
監督:ユン・ジェグン
出演:ユン・ゲサン、 イム・ジヨン
人体憑依サスペンス。 ★★★
冒頭、事故を起こした車からふらふらになった男が這い出してくる。
あれ、俺はどうしたんだ? どうしてこんなことになっているんだ? ここはどこだ?
彼は記憶も失っていたのだ。
ガラスに映った自分の姿を見て、あれ、これが俺なのか、なにか違うような気もするなあ。
そして12時間経つと、男はまた見覚えのない場所で目を覚まし、先程とは違う顔の人物になっていた。
なんだ、これは?
そうなのだ、この映画の面白いところは(そして、ややこしいところは)、主人公が12時間ごとに全く知らない人物に乗り移ってしまうところ。
要するに、別の人物の身体に主人公の魂(spirit)が入り込む。
これが1日に2回、きっちりと起こる。主人公は”魂の彷徨い人”。タイトル通りなのだ。
さて、それでどうなるか。
周りの人たちは、魂が入れ替わっていることなど知らずに(そりゃそうだ)、話しかけてくる。
必死に話を合わせて取り繕う主人公。
しかし、どうも俺が乗り移るのは怪しげな人物ばかりだぞ。なにか悪事に荷担している奴らばかりだぞ。
こうしてはじめは状況も判らなかった主人公がいろいろな人物の身体に乗り移っていくうちに、少しずつ明らかになっていく事件があったのだ。
それと同時に、観ている者も同じように状況を少しずつ知っていくことになる。
なかなか上手い作り方、展開の仕方。
この映画で観ている者が途惑うのは・・・。
ガラスや鏡に映った自分の姿を見るときは、主人公が乗り移った人物が写っている。これは普通。
しかし、それ以外の物語場面では主人公は主人公の姿で画面にあらわれているのだ。
だからこれは主人公なのだが、本当は今はある人物の姿でいるのだな、周りの人はその人物のつもりで話したりしているのだな、と整理しながら観なければならないのだ。
やがて主人公が乗り移る人物にはある法則があることに気付く。
なんだ、こいつらはみんな俺を殺そうとしていた奴らだ。俺はどうして殺されることになったんだっけ?
主人公は少しずつ自分がはまり込んでいた陰謀に近づいていく。
謎だったピースが次第にはまっていく過程は、ああ、なるほど、そういうことだったのか。
主人公がなぜ他人の身体に魂を乗り移らせるようになったのか、一応の説明がある。
そして主人公の魂が他人のところへ行っている間は主人公の身体はどうなっていたのか、それも説明される。
ああ、なるほどね。
少し混乱して、頭を整理しながら観る必要がありますが、なかなかに面白い発想の映画でした。