1975年 アメリカ 94分
監督:トム・グライス
出演:チャールズ・ブロンソン、 ジル・アイアランド
列車を舞台のアクション・サスペンス。 ★★☆
舞台は19世紀のアメリカ。疫病によって全滅しかかっている砦の騎兵隊を救うために、軍用列車が派遣された。
列車には軍隊といっしょに知事(リチャード・クレンナ)や、その姪メリカ(ジル・アイアランド)、牧師、医師などが乗っていた。
途中停車した町からは脱獄犯ディーキン(チャールズ・ブロンソン)が保安官(ベン・ジョンソン)とともに乗り込むことになる。
原作と脚本はアリステア・マクリーン。「ナヴァロンの要塞」や「荒鷲の要塞」を書いたあの冒険小説の大家。
疾走する列車の中で医師が殺され、行方不明になっていた2人の兵士の遺体も発見される。さらに、補充部隊を乗せた後方の車両が切りはなされてしまう。
どんどんと事件が起こっていくぞ。
脱獄犯として列車に乗り込んできたディーキンだが、実は正義の人であったというのは、もうお約束の展開。
そのディーキン役のブロンソンだが、はやはり渋い。男の汗の匂いがもうその全身から漂ってくる。
そしてブロンソンと言えばお決まりなのは愛妻ジル・アイアランドの共演。
しかしこの映画では珍しく悪女役ではなく、主人公に協力する可憐な美女役だった。
列車を舞台にして物語が展開するので、登場人物は乗り込んでいる者たちだけに限られる。
いわば密室状態。犯人はこの列車内の誰かだぞ。
前半ではごちゃごちゃといた登場人物が次々と死んでいくので、怪しい人物は限られてきたなあ。
ディーキンは救援部隊を率いていた少佐と協力して事件を探っていく。
コックまでが悪人で、列車の屋根でのディーキンとの対決もある。
CGで撮影などできなかった時代なのに、よくあんな場面が撮影できたなあ。屋根から転げ落ちたら本当に死んでしまうぞ。
ダイナマイトを使った爆破シーンもあるし、クライマックスでは先住民と犯罪者一団が手を組んだ敵との戦闘シーンもある。
ということで、お楽しみを盛り込んだアクション映画だった。
展開がいささかぬるい感じがしてしまうが、それもあの時代の良き香りとしておこう。
最後近く、少佐がディーキンに尋ねる、「どうして私が一味の仲間でないと判ったのだ?」
ディーキン曰く、「部外者の俺を列車に乗せることに反対しなかっただろう、一味なら反対していたはずだ」
なるほど、お見事な推理だ。ただの筋肉マッチョではなかったのだな。
特筆するものがあるわけではないが、あの頃のブロンソンの魅力はよく出ていた。
休日の午後にのべ~っと観るのに適した作品ですよ。