2023年 日本 122分
監督:本木克英
出演:阿部サダヲ、 上戸彩、 橋爪功、 柳葉敏郎
銀行内幕もの。 ★★☆
原作はお馴染みの池井戸潤。題材もお馴染みの大銀行内幕もの。
これは鉄板とも言うべき企画で、一定の水準は約束されているだろうということで鑑賞。
TVドラマ化もされていたらしいのだが、(TVドラマはほとんど観ないので)私は未見だった。
東京第一銀行・長原支店で、100万円が足りないぞ、誰がなくしたんだ? といった現金紛失事件が発生する。
とにかく銀行は他人のお金を預かって運用している場所だから、信用第一。
しかしこの銀行、悪い人ばかり。
支店長は銀行の金を使い込もうとする悪い人。
副支店長は権威を嵩にきたパワハラ上司。
その下にいる中間管理職も、客の方を向かずに銀行の預金成績の方だけを見ている。
おまけに、嫌いだからという理由だけで同僚を貶めようとする女子社員がいたりもする。
こんな職場、嫌だよお。
(でも、上戸彩が同じ職場にいたら、ものすごく嬉しいなあ 笑)
主人公は部下思いのベテランお客様係の西木(阿部サダヲ)。
彼は巨額の不正融資がおこなわれているのではないか、ということに気付く。
部下の北川(上戸彩)たちと一緒に裏側を探っていくのだが、これって、誰が関係しているんだ? ん、まさかあの人まで関係している?
池井戸ものの常として、銀行の裏事情のようなものを垣間見せてくれて面白い。
銀行は厳しいノルマ主義。行員はそれに縛られて仕事をしているということもひしひしと伝わってくる。
ついには精神を病んでしまった行員が描かれていたが、サラリーマンなら身につまされるだろう。
しかし、それにしては、札束に巻いてあった帯をあんなところに落とすか?
それにもまして、100万円の振込票を仕事場のゴミ箱に捨てるか?
いくらなんでもちょっと(映画の作りが)杜撰すぎるだろ。
いかにも善人っぽい阿部を主人公にしたことで、この映画はぎくしゃくした冷たい派閥闘争ものではなくて、どこか人情味があるものになっていた。
それが映画を親しみやすい雰囲気のものにしていた。
でも、もっとひと癖もふた癖もある本来の阿部らしさは抑えられ気味だった。
あの有名な台詞のパクリも出て、池井戸作品らしく悪人たちは成敗されていく。
この映画でも柄本明が上手い役どころで出演。
この人、いつも人をくったような小狡さをふんぷんとさせて物語をさらっていくなあ。
で、主人公の西木も、結局は不動産詐欺で儲けた金の分け前で借金を返済したわけだ。
借りた金を返さないのは悪い、しかし、返す金をどうやって手に入れたかも問われるよねえ。
この映画、お金の欲望に汚れた人がいっぱい出てきた。
真面目だけれども赤貧の私とは、どこまでも無縁の世界の出来事だったなあ(苦笑)。