2023年 日本 115分
監督:塚原あゆ子
和風ファンタジー。 ★★★
舞台は架空の時代で、異能を持つ者が支配している世界。
町並みや人々の衣装は大正ロマン風で、このレトロっぽさに異能を組み合わせたところに惹かれて鑑賞。
原作は顎木あくみの若者向け小説。アニメ化もされていたようだが、それらはまったく知らずに鑑賞。
ビジュアルは大変に面白いものになっていた。
明治・大正時代の洋風建築をロケに利用しており雰囲気を出していた。
さらに、CGで描かれた街並みの俯瞰では異様なほどの高層建築が建っている。
衣服も、女性は和服か文明開化の頃を思わせる洋装。男性も戦前の昭和初期の頃のような軍服を着たりしている。
主演のカップルは、人気グループSnow Manの一員である目黒蓮と、今田美桜という女優さん。
どちらも知らない人だった(汗)。
さて。そんなビジュアルのこの世界は、異能を有する家系の者が支配している。
国の頂点にいる帝(てい)は予知能力を持っており、主人公の一人である久堂清霞はいくつもの異能を持っていて、軍部の長でもある。
冷たい美貌の持ち主で、これまで女性には全くの無頓着だったというところがポイント。
彼の元へ政略結婚させられるのがヒロインの美世。
彼女は異能を持つ両親から生まれながら通常人で、母が亡くなったあとは継母や義妹にいじめ抜かれていたのだ。
使用人同様の扱いを受けて、いわば灰かぶり姫状態。惨めで哀れなヒロイン。
これは少女漫画の常道ともいえる男女の設定。
自分の魅力にも気づいていないヒロインが、他の女性があこがれるような王子様に見初められていく。
久堂がツンデレなところも女性ファンにはたまらないのだろうな。
アクション部分は、これまで封じ込められていた怨念が何者かによって解き放たれるというもの。
これはゾンビのような存在で、それまでの仲間も次々に魂を乗っ取られていく
仲間だったものを殺すわけにもいかない。
久堂の異能をもってしてもどうすることもできない。どうすればいいんだ?
というところで、(皆がおそらくそうなるのだろうなと予期していたように)美世の隠されていた異能が発揮されるわけだ。
有り体に言って、物語そのものは(繰り返しになるが)少女漫画そのもの。
しかしビジュアル面は充分に楽しめるものになっていた。