あきりんの映画生活

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「最後まで行く」 (2023年) 無様な姿を見せる岡田准一クン

2023年 日本 118分 
監督:藤井道人
出演:岡田准一、 綾野剛、 広末涼子、 柄本明

悪人同士のサスペンス。 ★★★☆

 

オリジナルは2014年の同名韓国映画。中国やフランスなどでもリメイクされたとのこと。
確かにあちらこちらでリメイクされるだけのことはある物語だった。
そうか、最後まで行ってしまうのだな。

 

ある年の瀬の雨の夜、刑事の工藤(岡田准一)は危篤の母のもとに向かうため車を飛ばしていた。
しかし間に合わず、妻(広末涼子)からの電話が母が逝ったことを伝えてくる。そしてその瞬間に、車の前に現れた男をはねてしまったのだ。
えっ、こんなことが! どうしよう・・・。

 

岡田准一扮する工藤はやさぐれた悪徳刑事。
正義なんてこれっぽっちも頭になくて、妻からも見限られて離婚を迫られている状態。
情けなくてやけっぱち気味で、もうよれよれ、ぐだぐだの岡田准一
そんな工藤はなんと轢いてしまった男の死体を車のトランクに隠してしまう。
おいおい、警察の人間がそんなことをしていいのかい。

 

すると夜の検問に引っかかってしまう工藤。
俺は警察官だ、通してくれ。いや、なんか怪しいな、トランクの中を見せてくれ。
絶体絶命。焦りまくる岡田准一が面白い。

 

と、傘を差してそこにあらわれたのが、すました感じの県警本部の監察官・矢崎(綾野剛)。
お母様が亡くなったばかりだというではないか、通してあげなさい。
おお、天の助けだ。

 

といった感じで右往左往する工藤なのだが、その彼のスマホに、「お前人を殺しただろ」というメッセージが入る。
えっ、誰があの瞬間を知っているんだ? こいつは何者だ? 何を企んでいるんだ?

 

もう物語は二転三転。
事件に翻弄される工藤目線の物語を観客も観ている。
ついつい、大丈夫かな、隠そうとしている死体が見つかってしまわないだろうか、とか、この脅迫者はどうするつもりなのだろう、とか、工藤と一緒になってハラハラするわけだ。

 

(後半になると、同じ事件が矢崎目線で語られる。なに、そうだったのか!
 なに、あいつはそんな奴だったのか、なに、そんなことが起きていたのか。
 これには感心させられた。)

 

矢崎を演じた銀縁眼鏡の綾野剛がまた嫌みったらしい。
権力を嵩にきてお高くとまっている。細い目は小ずるくて冷酷非情といった雰囲気。
上手い。

 

事件の裏には表には出せない大金争奪戦があったのだが、そこに割り込んでくるやくざの親分役に柄本明
言葉巧みに設け話を持ちかけ、下から覗きあげるような目線でしっかりと脅してくる。
こういった役をやらせたら、もうこの人の右に出る者はいないのではないだろうか。

 

工藤と矢崎、やっと倒したと思ったら、それでもなおしぶとく追いかけてくる矢崎。
お前はゾンビかよ!と怒鳴りたくなるほど。
なるほど、最後まで行かなければ決着はつけられないわけだ。

 

いつもとは違って格好悪いところをこれでもかと見せる岡田准一。かたやボッコボッコにされる綾野剛

二人ともよくもここまでやったなあと感心する。特に最後近くの綾野剛、すごいよ。

 

長い4日間が終わり、新年を迎える。
さて工藤の新年はどうなった? 
そこまでやるか!といった展開が次々と繰り広げられて、大変に面白い映画だった。