あきりんの映画生活

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「亜人」 (2017年)

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2017年 日本 109分
監督:本広克行
出演:佐藤健、 綾野剛

不死身の人間の戦い。 ★★☆

 

原作は桜井画門のコミック。
未読だが、ご贔屓の佐藤健綾野剛のダブル主演ということでDVDで鑑賞。

 

ある日、交通事故に遭って死んでしまった医者の卵の永井(佐藤健)。
と思ったら、彼は生き返る。彼は不死の存在である”亜人”だったのだ。
国内で3例目の亜人とされた彼は国家機関に捕らえられ、非人道的な実験の材料にされる。

 

なにせ死なないのだから、腕を切り落とそうが、内蔵をえぐり出そうが、亜人はまた復活するのだ。
どんな人体実験でもできてしまう。しかも、何回でも実験できる。
でも、やはりそれは当人には非常な肉体的な痛み、苦痛をともなうものだったのだ。

 

実際に亜人のような存在の者があらわれたら、普通の人はどう考えるのだろう?
それは自分たちの存在を脅かす脅威と考えるのだろうか。
そりゃあ、喧嘩をすれば絶対に勝つだろうし、ヤクザの殴り込みでも戦争の兵隊でも、怖い相手はいなくなる。
死が宿命として待っている者には怖ろしい存在だし、少し羨ましい存在であるかもしれない。病院は要らないし、薬も無用のものとなるのかもしれないのだし。

 

まあ、それはさておき。
国家によって非道な目に遭わされていた永井を、亜人の第1号である佐藤(綾野剛)が助けに来る。
さあ、一緒に愚かな人間どもと戦おうぜ。俺たちの安全な居場所を作ろうぜ。

 

重火器で武装した佐藤は特殊公安部隊と戦う。
(日本で一番強いのは、戦いの経験のない自衛隊ではなく、この公安治安部隊だとういう佐藤の意見は面白かった)
そんな彼が国家に要求したのは、東京を亜人の住む街とせよ、ということ。
もしその要求をのまなければ、致死性の毒薬を東京にばらまいて人が住めない場所にしてやるぞ。

 

佐藤の元には2人目の亜人もいた。彼も凶暴。国家とばりばりと戦う。
彼が言う、俺は2年間も国家の酷い実験台にされていた、助け出してくれたのが佐藤さ。
でも佐藤はその苦しみを20年間も味わってきたのだぜ。
佐藤が東京にばらまくと宣言した毒薬というのは、実は20年間も佐藤を実験台として開発されたものだったのだ。
恨み骨髄だぜ。あの苦しみを味わってみるがいいぜ。

 

不死の亜人に対抗するために国家も手段を考える。
撃ち殺しても復活してしまう亜人なので、麻酔銃で眠らせてしまえばいい、そこで身動きできないように縛りあげてしまえばいい。
ということで吹き矢のような麻酔弾を一斉に撃ってくる。

 

なるほど、国家側も考えるものだ。さて、麻酔弾が当たってしまったらどうする? 
すごいよ、腕に麻酔弾が当たったら、即座にその腕を自ら切り落としてしまう。腕はまた生えてくる。
それでも対応できない事態になったら、リセット!と言いながら自ら銃で自分を撃ち抜く。また何事もなく生き返るのだよ。

 

国家テロを目論む佐藤だったが、そんなやり方に反発した永井は国家側につく。
佐藤が奪いに来る毒薬を守ろうとするのだ。
ここから亜人同士の戦いが始まる。
亜人は”幽霊”と呼ぶ自分の分身も出すことができる。幽霊同士も戦う。

 

同じ亜人役だが、佐藤健良識派の主人公なので、それなりの存在感。
俄然インパクトが強かったのは綾野剛の方。悪役だから、好き勝手に暴れ回ってくれる。
情け容赦なく国家権力をなぎ倒す。危うくなると躊躇なく自分をリセットする。
どこまでがCGなのか判らないのだが、彼のアクション演技をすっかり見直してしまった。
癖のある役柄だと活きる俳優になっている。

 

亜人同士の壮絶な戦いがクライマックスとなる。
全体の雰囲気としては「進撃の巨人」(ただし、未見、未読。単なる想像です)に似ているのではないだろうか。
人間の命の重さが手玉にとられて物語が作られている。
それによって、逆に命の重さを訴えようとしているのかもしれないのだが。

 

コミック原作だと割り切って観ましょう。
観ている間は退屈しません。でも、あとには何も残りませんでした(汗)。