あきりんの映画生活

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「心の旅」 (1991年) 自分を強く信じるだけ

1991年 アメリカ 106分  
監督:マイク・ニコルズ
出演:ハリソン・フォード、 アネット・ベニング

記憶喪失になる人間ドラマ。 ★★★

 

やり手弁護士のへンリー(ハリソン・フォード)は、煙草を買いに入った店で強盗に遭遇し銃で撃たれてしまう。
一命は取り止めたものの、体を動かすことも話すこともできない状態。
おまけに記憶喪失となり、妻(アネット・ベニング)や娘のことも判らなくなってしまった。

 

30年余り前の映画。ハリソン・フォードは40歳代後半で、「インディジョーンズ 最後の聖戦」の数年後のころ。
冒頭では、オールバックの髪型で有能だけれども仕事第一主義の(やや非人間的な)人物を演じている。
お金持ちで精悍な感じだが、家庭生活は上手くいっていないわけだ。

 

そんなヘンリーだったわけだが、リハビリ訓練により左半身の軽い麻痺は残したものの、体は動くようになり会話もできるようになる。
このリハビリの過程が上手く描かれていた。
初めて起き上がり、立ち、一歩を踏み出し、車いすから歩行器になり松葉杖になっていく。
トレーナーのブラッド(ビル・ナン)が好人物。粗野な感じもあるのだが、その明るさがヘンリーには心地よかったのだろうな。

 

しかし、ヘンリーはすべてを忘れてしまっている。
そして、退院して妻娘のもとにもどった彼は、以前とはまったく違っていて、人に対しての優しさがある人物になっていたのだ。
尊大さは全くなく、少しおずおずと人と接するヘンリー。
あら、貴方、変わったのねと嬉しそうな奥さん、こんな貴方を望んでいたのよ。

 

でもこれからの自分に不安はある。
大丈夫だろうか?
家まで様子を見に訪ねてくれたブラッドが言う、誰に何言われたって自分を強く信じるだけさ。

 

家庭生活の寂しさから起こしてしまっていた奥さんの浮気騒動も許し合えて、ヘンリーが言う、「おいしいふぐ料理の店があるのだが・・・」
それは若かったヘンリーが奥さんを見初めて、初めてのデートに誘ったときの文句だったのだ。
粋だねえ。

 

根っからの悪人は登場しない映画。
基本的には予想通りの展開になっていき、心おだやかに見ることができる映画。
(逆に言えば、それだけの映画ということになるのだが・・・)

 

犬好きの人なら、ヘンリー一家が飼い始める愛犬バディもきっと気に入るはず。
ラストシーンはヘンリーたち3人が仲良く寄り添う場面なのだが、そこにバディも自分も仲間に入れろとばかりに尾を振って背伸びをしてくるのだよ。

 

(些細なツッコミ)
家族や他人を愛することができるようになったヘンリー。
好かった、好かった、なのだが、弁護士の仕事も辞めてしまってこれからの生活はどうするのだろう?(汗)