あきりんの映画生活

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「プリティ・ウーマン」 (1990年) 高所恐怖症でも迎えに行くぞ

1990年 アメリカ 119分 
監督:ゲイリー・マーシャル
出演:ジュリア・ロバーツ、 リチャード・ギア

大人向けのお伽噺。 ★★★★

 

というわけで(どんなわけや?)、大金持ち男性と娼婦の恋物語の映画を鑑賞。
もう誰でも知っている大人向けの現代版シンデレラ・ストーリー。

 

企業買収の実業家エドワード(リチャード・ギア)は、夜のビバリーヒルズで娼婦のビビアン(ジュリアロバーツ)を道案内役として20ドルで拾う。
ほんの気まぐれ。偶然で出会う二人。
お伽噺は、こうして何でもないところから始まるのが定石なのだよ。
これは運命の出会いだったんだっ! なんてのは重くなりすぎるのだろうと思う。

 

ホテルに着くと、エドワードはビビアンを部屋に誘う。私は高いわよ、1時間100ドルよ。
何しろそこは超高級ホテルだから、蓮っ葉な雰囲気、露出過多の衣装のビビアンにロビーにいた人たちもホテルの従業員も眉をひそめる。
しかし、そんなことには無頓着にあっけらかんとしているビビアン。
このあたりは、これから後のビビアンの変化を期待させて上手い作り方だった。

 

次第にそれぞれが相手への警戒心を解いていき(なにせ、初めはどんな相手なのか判らないものね)、愉しい時間をおくりはじめる二人。
エドワードはビビアンを300ドルで一晩の契約をし、さらに3000ドルで6日間雇う事にする。

 

もちろんエドワードは商談の場にエスコートする適当な女性としてビビアンを利用しようとしただけ。
だからお金に糸目を付けずにビビアンをレディに仕立てようとする。
ビビアンの方も大金が稼げるのだから文句はない。しかもこんな贅沢までさせてもらって、と有頂天になる。

 

お互いの利害関係が一致してはじまった、それぞれが打算含みの二人の1週間。
ここから次第に二人の関係が相手を思う気持ちに変化していくところが、この映画の見どころ。
それが自然に感じられるので、観ている方も、うんうん、好かったね、という気持ちになっていく。

 

周りの人も、エドワードの持っているお金のせいでだけはなく、ビビアン本人の天真爛漫な人柄に惹かれて親切にしてくれる。
こういったところも気持ちの好い映画。
特にホテルの支配人の取り繕ったような表情でのさりげない親切さがよかった。
食事のマナーなんて何も知らないビビアンに頼まれて、ていねいにフォークの説明なんかしてあげるしね。
ホテルお抱えのリムジンの運転手も、最後に好い仕事をするぞ。

 

美しく変身して(磨けば光る、ということわざがあるけれど、元がジュリア・ロバーツだからね、元から光っていた?)、周りの皆もびっくり。

初めは冷たくあしらった高級ブティック店の店員たちを見返す場面も愉快だった。

 

映画の始めと終わりに、これはハリウッドでだから起きる夢物語だよといった意の台詞がある。
そうなのだよね、基本的なところで、肉体と愛情は別物という考えに納得できないと、このお伽噺自体が成立しなくなる。
唇へのキスに対するこだわりなどがそれを象徴していた。
愛情を伴わない肉体関係なんて、どれほどのものでもないのだよ。

 

1週間が過ぎ、一度は関係を終了させようとした二人だが、映画はハッピーエンドへ。
大音量でオペラのアリアを流しながらビビアンのアパートを探すエドワード。
ここは思わず幸せ涙がにじむ場面。
そして非常階段を上ってビビアンのもとへ向かうエドワード。

 

ジュリア・ロバーツ出世作となった今作。
たしかに彼女の屈託のない笑顔でこの映画は成功していた。