あきりんの映画生活

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「イルマーレ」 (2001年) これが韓国オリジナル版

2001年 韓国 97分 
監督:イ・ヒョンスン
出演:チョン・ジヒョン、 イ・ジョンジェ

時を超えたラブ・ストーリー。 ★★★☆

 

ハリウッド・リメイク版を観たので、オリジナル版も再見してみた。
ヒロイン役のチョン・ジソンはこの時20歳ぐらい。私が知っている数少ない韓国の女優さんのひとり。

 

大まかなストーリーはハリウッド版が忠実になぞっていた。ほとんど変わらない。
海辺に建つ一軒家のポストに、2年の時を隔てて存在する男女の手紙が届くという枠組みも同じだった。
ただし年代は、ウンジェ(チョン・ジヒョン)がいるのが2000年、ソンヒョン(イ・ジョンジェ)がいるのがその2年前の1998年だった。

 

舞台となる一軒家に海という意味の”イルマーレ”と名づけたのは、この家の最初の住人であるソンヒョン。彼は塗料を塗って表札も作っていた。
そしてその塗料で足を汚した小犬が玄関に足跡を残していたのだった。
(ハリウッド版ではそのあたりは曖昧だった)

 

ウンジェとソンヒョンのもどかしいような手紙のやりとりは、この映画の骨子。
そしてなんと言っても、ウンジェ役のチョン・ジヒョンが初々しく可愛い。
この映画の翌年の大ヒット作が「猟奇的な彼女」だった。

 

海辺に建つ“イルマーレ”の風景が大変に美しい。
画面そのものが詩情をたたえているようで、絵のようなその風景のなかにいる人の物語を味わい深くしていた。

 

さて。
2年前に駅のベンチにウォークマンのような携帯型プレーヤーを置き忘れたという彼女の手紙を読んだソンヒョンは、その日に駅に出かける。
そして彼女を見初める。
しかし、もちろん(2年後に彼のことを知る)ウンジェの方はソンヒョンのことなど未だまったく知らないのだ。
このもどかしさが好いなあ。

 

その頃、彼女には遠距離恋愛になろうとしている恋人がいたのだ。
そして2年後の今、彼女はその恋人に別れを告げられたのだ。
こんなことなら2年前に遠距離恋愛にならないようにすればよかった・・・。
ソンヒョンさん、とても辛いの、私を助けて・・・。

 

そうなのだ、韓国版が大きく違っていたのは、ウンジェには忘れられない恋人がいたことだった。
そして彼女のために2年前にソンヒョンが行動を起こしていたことだった。
そのことが大きなドラマとなっていた。

 

ハリウッド・リメイク版に較べると、脚本はあきらかに大雑把である。
タイム混迷ものにつきもののツッコミどころも、少なからずある。
それに細かい部分が練れていない印象があった。

 

しかしなんといっても、この2年前のことを知っている彼女と、2年後のことを知らない彼、という設定の妙は特筆ものである。
くわえて特筆すべきことは、映像の美しさである。

 

それに、全体の少したどたどしい雰囲気もかえって物語には合っていた。
それもこれもチョン・ジヒョンの初々しい魅力の賜物。
評価は彼女の魅力によって、☆おまけ(苦笑)。