2006年 125分 韓国
監督:アンドリュー・ラウ
出演:チョン・ジヒョン、 チョン・ウソン
甘いサスペンスもの。 ★★★
アムステルダムで画家をめざすヘヨン(チョン・ジヒョン)は、生活費を稼ぐために街の広場で似顔絵書きをしている。
そんなヘヨンのもとへは毎朝、誰とも判らない人物からデイジーの花がとどけられていた。
ある日、ヘヨンの前に客として現われた一人の男ジョンウ。
ヘヨンは彼こそがデイジーの送り主ではないかと思い、かすかに好意を抱き始める。
「インファナル・アフェア」を撮ったアンドリュー・ラウ監督の韓国映画だが、全編オランダが舞台である。
美しい景色の中でのサスペンス・タッチのラブ・ストーリーが展開される。
実はジョンウは、暗殺者パクウイ(チョン・ウソン)を追うインターポールの刑事だったのだ。
広場でへヨンに似顔絵を頼んだのも、その位置から暗殺者があらわれるかもしれない建物が監視出来たからだったのだ。
一方で、その広場を見下ろす部屋に暮らす暗殺者のパクウイは、毎日窓から見下ろす広場にいるヘヨンに秘かな恋心を抱いていた。
姿をあらわさないままにデイジーを届けていたのもパクウイだったのだ。
こうして、姿を知られてはいけない暗殺者が恋した相手は、その暗殺者を倒そうとして彼女に近づいた刑事に心を動かす、という三角関係となってしまう。
やがてその刑事も、利用するだけだったはずのヘヨンに好意を抱くようになっていく。
そして、あることがきっかけとなって、ヘヨンはデイジーの送り主はジョンウではなくパクウイだったことに気づく。
互いに気持ちがちぐはぐとしたような、なんとももどかしい関係が甘酸っぱい。
チョン・ジヒョンはしっかりとした性格の女性を演じながらも、どことなく淋しさを漂わせる、そこがなんとも好い。
もちろん、彼女が出演しているために観たような映画である。
そして、広場を舞台にした大団円は激しい銃撃戦となっていく。
一人の女性を中にした暗殺者と刑事の物語は、悲劇的に終わっていく。
すべてが終わったあとで、それまでの日々がフラッシュバックされる。
広場に急に雨が降り始めた日の回想場面も映る。
急いで建物の軒下に入り雨宿りをする人々の中に、何気ない3人のそれぞれの姿があった。
ここも甘酸っぱいものを感じさせる場面だった。
制作意図はミエミエの映画。
しかし、観る方もそういったものを期待しているわけだし、充分に満足できるものだった。
同じ物語をヘヨンの視点で追った「デイジー/アナザー・バージョン」という映画もある。
チョン・ジヒョンのファンとしては、そちらも観てしまった。
えっ、物好きだって? ふん。