1978年 フランス 124分
監督:ジョルジュ・ロートネル
出演:アラン・ドロン、 モーリス・ロネ、 オルネラ・ムーティ、 ミレーユ・ダルク
フレンチ・サスペンスもの。 ★★★
今日はアラン・ドロンの誕生日。ということでドロン様の作品の感想を。
実業家グザヴィエ(アラン・ドロン)は、親友のフィリップ(モーリス・ロネ)から殺人をしてしまったと告白される。
よし、俺に任せておけ、アリバイを作ってやる。
実は、フィリップが殺したセラノ議員は多くの要人の悪事を記録した秘密文書を持っていたのだ。フィリップもそれをネタに脅迫されたためにセラノを殺してしまったのだ。
この映画はその秘密文書をめぐるサスペンスもの。
音楽をアルトサックスのスタン・ゲッツが吹いている。
これが哀愁に満ちていて、なんとも渋い。冒頭の曲からして、ハードボイルドにぴったりである。
(「タクシー・ドライバー」でトム・スコットが吹くサックスも好かった。サスペンスものにはジャズが好く合うなあ。)
この映画の時、ドロンは43歳。若さと共にあった華やかさは減り、その分だけ渋さが増している。
原題は「腐った者に死を」といったところらしい。
それをあまり追跡劇もないのにこの邦題にしてしまったのは、どんな意図だったのだろう?
グザヴィエの恋人役にミレーユ・ダルク。
監督のジョルジュ・ロートネルは、この映画の前にドロンとダルクの共演による「愛人関係」をヒットさせている。小洒落た感じのサスペンスものが得意のよう。
それになんと言っても、ダルクの初主演映画「恋するガリア」を撮って彼女を有名にして、彼女を起用した「女王陛下のダイナマイト」「牝猫と現金」を撮り、「太陽のサレーヌ」を撮っている。
ミレーユ・ダルクのファンとしては忘れられない監督である。
さて。
秘密文書を奪おうとした何者かにフィリップも殺されてしまう。
おのれ、俺の親友を殺した奴を許すわけにはいかないぞ!(今回は、モーリス・ロネを殺したのはドロン様ではないのだよ 笑)。
秘密文書を預かっていたフィリップの愛人ヴァレリー(オルネラ・ムーティ)からそれを受け取ったグザヴィエは・・・、という展開。
このヴァレリー役のオルネラ・ムーティが大変に可愛くて、しかも色っぽい。
(殿方だけにこっそり教えると、ニットの柔らかいワンピースを着たりしているのだが、なんとノーブラなのだよ)
他にどんな映画に出ていたのだろうと検索したのだが、出演作は少なかった。
可愛いのにな、どうしてもっと活躍しなかったのだろう?
途中でグザヴィエに接触してくる凄みのある国際的企業家がいた。
画面に登場してきただけで全身からヤバイ雰囲気を出しているこの俳優は・・・。
そう、ヴェルナー・ヘルツォーク監督作でお馴染みになったクラウス・キンスキーだった。
やはり彼はすごいよ。並のオーラではないよ。出番は少なかったが、強烈な印象だった。
ぎすぎすとした緊張感の物語なのだが、登場人物で唯一のどかなのがミレーユ・ダルク扮するグザヴィエの恋人。
無邪気に、ねえ、今夜そっちに行ってもいい?などとドロンに甘える。やはり魅力的だったな。
フィリップを殺して秘密文書の入手をもくろんでいた犯人は・・・、という展開があって、クライマックスになっていく。
展開も早く、次々に悪人が出てきて、次々に人が殺されていく。退屈する暇もないほどだった。
フランス映画の雰囲気もたっぷりと味わえて、ドロン様のファンでなくても楽しめます。
ミレーユ・ダルクのファンならなおさらです。ぜひ観ましょう(笑)。