2019年 アメリカ 116分
監督:ジョーダン・ピール
出演:ルピタ・ニョンゴ
ホラー映画。 ★★☆
ジョーダン・ピール監督は第1作の「ゲット・アウト」が秀逸だった。第3作の「ノープ」も不思議な感触の映画だった。
で、観ていなかった第2作の本作を鑑賞。
夏休みを過ごすために、夫、娘、息子とともに幼少期に住んでいた家を訪れたアデレード(ルピタ・ニョンゴ)。
夜になり、玄関の前に親子連れ4人が黙って佇んでいる。
誰だろう?と思ってみると、なんと、彼らはアデレード一家の4人と同じ顔をしていたのだ。
えっ、これはどういうこと?
この映画、ジョーダン監督の3つの作品の中では飛び抜けてホラー色が強かった。
こんな気味悪い映画は私の好みではないのだけれどなあ。
ジョーダン監督でなかったら観ようとはしなかったような、とても怖い雰囲気だぞ。
あわててドアに鍵をかけ、窓も全部閉めたはずなのに、えっ、彼らはいつのまにか家の中に入ってきている・・・。
ここからすさまじいアデレード家族と侵入者家族の戦いが始まる。
しかし、いくら倒しても彼らはまたむっくりと起き上がってくるのだよ。怖ろしい・・・。
こうこれば完全に私の苦手なゾンビ映画風なのだが、この映画のキモは、襲ってくるのが自分と同じ顔かたちの奴=ドッペルゲンガーというところ。
そしてアデレードたちが助けを求めて逃げ込んだテイラー家なのだが、実はドッペルゲンガーはすでにテイラー一家を殺して成り代わっていたのだ。
奴らの凶器が大きなハサミというところも、また不気味さを増強していた。
TVのニュースでは、アメリカ各地にドッペルゲンガーがあらわれ殺戮をしていると報じている。
いったい奴らは何者なのだ? 何をしようとしているのだ?
実は、ドッペルゲンガーとしてあらわれた彼らは、政府が秘密裏におこなっていたクローン人間作成計画の産物だったのだ。
タイトルの「Us」にはアメリカ合衆国の意味も含んでいるとのこと。
なるほど、よく考えたなあ。
この映画の好かった点は、アメリカが抱えている大きな社会的な問題をテーマにしながらも、そこへ拡散しなかったところ。
最後までアデレード一家の奮闘記から離れなかったところ。
それなので、映画のはじめにあった伏線も好く効いていた。
(以下、完全ネタバレ 未見の人は絶対に読まないように!)
そして、そして最後の数分で唖然とした…。
まさかアデレードとドッペルゲンガーが少女時代にビーチのミラーハウスで入れ替わっていたなんて・・・。
お母さんの微かな微笑みでそのことに気づいてしまった息子は、これからどうする・・・?
見事なエンディングだった。