あきりんの映画生活

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「ストーン」 (2010年) なあ、お願いだから仮釈放させてくれよ

2010年 105分 アメリカ  
監督:ジョン・カーラン
出演:ロバート・デ・ニーロ、 エドワード・ノートン、 ミラ・ジョボビッチ

3人の心理ドラマ。 ★★☆

 

2人のアカデミー俳優にジョボビッチが華を添える。
これは期待できる顔合わせの映画・・・。それなのに世評は芳しくない。
どうして?

 

ロバート・デ・ニーロ演じるジャックは、定年間近の真面目な仮釈放管理官。
ジャックの最後の仕事が実家放火犯のストーン(エドワード・ノートン)の仮釈放審議書の作成だった。
仮釈放を切望するストーンとの面談が繰り返される。

 

このジャックとストーンの面談場面がかなり長く描かれる。
ジャックは、40年以上も自分を支えて愛し続ける妻のことをないがしろにしてきたような仕事人間。
そんなジャックに対して、ストーンは仮釈放を認めさせようと情に訴えたり、挑発してみたり。二人の苛々するような会話のやりとりが続く。

 

エドワード・ノートンはやはりすごい。
デビュー作の「真実の行方」から独特の存在感を見せつけていた。いつもなにかを裏に秘めているような怪しさ、したたかさを感じさせる。
デ・ニーロとは「スコア」でも共演していたが、あの映画でも、こいつ、いつ裏切るんだ?といった緊張感を持続させていた。

 

ついにはストーンは、自分の出獄を待ち望んでいる妻ルセッタ(ミラ・ジョボビッチ)にジャックを誘惑させようとする。俺の仮釈放のために一肌脱いでくれ。
判った、あんたのためなら何でもするわ。

 

蓮っ葉なジョボビッチも好い。銃を手にしていなくても、ゾンビが相手でなくても、その魅力は十分。
色仕掛けでジャックを繰っていくわけだが、もしかすると計算ずくではなくて本能のままに行動しているのかもと思わせるところがすごい。
あのメラニン色素の少ない瞳でじっと見つめられたら、男は誰でも眩暈をおこしてしまうよ。

 

こうして刑務所の中と外でストーンと蓮っ葉妻がジャックを翻弄する。
ついにはジャックは誘惑に負けて一線を越えてしまったりする。
どうするんだ、真面目ジャック?

 

おまけに途中からストーンは妙な宗教に心惹かれるようになり、妙に聖人っぽくなっていく。
今の俺は刑務所の中だろうが外だろうがどっちでもいい、神の啓示の音を聞き取れればそれでいいんだ!
どうなるんだ、ストーン?

 

さあ、この映画の感想をまとめるならば、これだけの名優を揃えてどうしてこんな映画になってしまった?
自分が書いた仮釈放審議書は誤りだったと後悔するジャック。
ストーンが出所した後に火事になってしまうジャックの家。ストーンの罪は放火だったぞ・・・。
なんだか一貫性のない物語になっていく。何が描きたかったんだ?

 

3人の演技はそりゃあ大したもの。惹き込まれる。
しかし、演じている内容がどうにもこうにもしゃんとしないのだ。
脚本も監督も、どっちもよくなかったのではないかい。

 

もったいない! エンディングも、なに?これ? 尻切れトンボだった。