あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「KNOCK 終末の訪問者」 (2023年) 世界を救うために誰かひとりが死んでください

2023年 100分 アメリカ 
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:デイブ・バウティスタ

不条理ドラマ。 ★★★

 

ナイト・シャラマン監督である。
ということでそれなりの心構えで(どんな心構えや?)で観る。世評は芳しくなかったようだが、私は面白く観た。

 

ゲイのカップルであるエリックとアンドリュー、そして養女のウェンは山小屋で休日を過ごしていた。
すると見知らぬ4人の男女が訪れ、エリックたち3人は訳がわからないままに彼らに拘束されてしまう。
手にそれぞれの武器を持った男女は、3人に「お前たちの中の誰かひとりが犠牲になる必要がある。誰を殺すかを選択しろ」と迫る。
ええっ、なんだそれ? そんな理不尽な選択なんてできるものか!

 

さらに、「誰かが犠牲にならなければこの世は終焉を迎える。犠牲が必要なのだ」といわれても、なんだ、それ、新興宗教か、それともカルトか?と思ってしまうわけだ。
しかし、TVニュースでは世界各地で起こっている災害を伝えてくるぞ。
これフェイクだろ? それとも本当?
という具合に、観ている者も疑問符だらけの展開となっていく。

 

実際、この映画の世評が悪かったのもシャラマン監督が何も説明しないところに大きな理由があるようだ。
この映画はヨハネの黙示録をモチーフにしているとのこと。そして最後の審判という終末感。
だから(私のように)キリスト教に疎い者には何がなにやらということになるわけだ。

 

4人の訪問者もヨハネの黙示録に出てくる四騎士をあらわしているとのこと。
この四騎士はそれぞれが地上の四分の一を支配していて、剣、飢饉、病、獣により地上の人間を殺す力を持っているのだとか。
冒頭に訪問者はノックを7回するのだが、これも世界の終焉の際に天使がラッパを7回鳴らすところからきているようだ。

 

そんな理屈づけを知らなければ、不条理感いっぱいの映画ということになるのだが、私はそういうのは嫌いではないので、訳などわからないままに楽しんだ。

 

エリックたち3人は当然だが誰が死ぬべきかなんて考えられない。
そりゃそうだ。でも、そうしているあいだにも世界の終焉はどんどん迫ってくるのだよ。
すると、驚くことに、4人の訪問者たちは1人ずつ自らの死を選択するのだ。

 

彼ら4人も特別な者ではなく、普通の人だったのに未来予知能力を授けられてこの任務に就いたのだ。
そしてエリックたちが犠牲者を決めることができなければ、犠牲者が決まるまでその代わりに自分たちが死んでいく運命なのだ。
なんだ、これ。不条理だな。神様ってそんなことを人類に求めてくるの?

 

これ、いったいどうなるのだ?と思いながら観ていたのだが、おお、そういう展開になるのか、という事態となって映画は終わっていく。
そして、エンドロールの最後にまた7回のノック音が響く。

えっ、これって・・・? 
世界の終末はいつまでも人類に突きつけられるのか?

 

納得出来るような説明は一切ないままに物語は終わっていった。
それを不満と思う人もいるだろうが、私はそういう設定での究極ドラマだと思って観た。
かなり楽しめた。