2013年 127分 日本
監督:佐藤祐市
出演:竹内結子、 西島秀俊、 大沢たかお
女性刑事もの。 ★★★
原作は誉田哲也の警察小説「姫川玲子シリーズ」の第4作「インビジブルレイン」。
このシリーズの第1作が「ストロベリーナイト」なのだが、TVドラマがこのタイトルだったのでそのまま使用したようだ。
原作シリーズを読んでいる者にはかえってややこしい。
主人公の姫川玲子(竹内結子)は警視庁捜査一課で姫川班を率いている遣り手の警部補。
玲子は自分の信念で一直線に突き進む性格で、そのために上層部からにらまれることも少なくない。
しかし、その事件解決能力の高さは上司もライバルも認めているところ。
その姫川班の管轄で連続殺人事件が発生する。
すぐに帳場(合同捜査本部のようなもの)が立ち、玲子たちも手分けして捜査に当たる。
すると、玲子のもとに犯人は柳井健斗だとの垂れ込み情報が入る。
名指しされたこいつは何者だ? それにこのたれ込みを寄こしたのは誰だ?
原作小説の玲子を取り巻く人物の描写は素晴らしく、その人間性が親しみやすく感じられるものとなっている。
玲子とバディのような関係の部下、敵対心むき出しで関わってくる同僚、困り顔ながらも理解して庇ってくれる上司、などなど。
そうした人間関係が新味に感じられ、ついついシリーズの次の一作を読もうかという気になる。
そんな意味では、所轄の巡査部長でありながら玲子に岡惚れの、コミカル担当の井岡(生瀬勝久)をもっと上手く使って欲しかった。
事件を追う姫川班だが、なんと上層部から「柳井健斗には触れるな」という不可解な指示が下る。
係長、どうしてですか? いや、儂にも判らん、指示はもっと上から来ている・・・。
えっ、本部長から? 何が隠されている? 警察組織に何か闇の部分がある?
それでも執拗に事件を追う玲子は、その過程で牧田(大沢たかお)という反社会的な男と出会う。
そしてあろう事か、玲子と牧田は互いが抱える闇の部分が共鳴して惹かれ合ってしまう。
そして互いに憎からず思い合っていた菊田を差しおいて関係を持つ間柄となってしまう。
おいおい、これはいかんだろう。本作でここが一番不要な部分だった(怒)。
実は、玲子の警察官としての強い使命感には過去の暗い事件の影響があったのだ。
しかし残念なことに、玲子の抱えている闇はこの映画だけでは伝わってきにくかった。
玲子の強引な強さの部分と、少し裏返すと途端に崩れ落ちてしまいそうな弱さの部分が一体になっていることには理由があったのだ。
原作を読んでいないと、そのあたりは感じにくいものがあった。
それにしても主役を務めた竹内結子がもうこの世にいないのは残念である。
別シリーズだが「コンフィデンスマンJP」での登場ももう観ることができない・・・。
この事件を最後に姫川班は解散していくこととなる。
重厚な作りの警察もので、映画自身も過去の事件が絡み合う全容は奥深いものだった。