あきりんの映画生活

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「ハモンハモン」 (1992年) ペネロペ・クルス17才の衝撃デビュー作!

1992年 94分 スペイン 
監督:ビガス・ルナ
出演:ペネロペ・クルス、 ハビエル・バルデム

スペイン愛欲ドラマ。 ★★★

 

ペネロペ・クルスの映画デビュー作とあっては、これは観なくては。
スペインの田舎町を舞台に、男女6人の、こんなのありか?というような恋愛模様が描かれていた。

 

シルビア(ペネロペ・クルス)は恋人のホセの子を妊娠する。
二人は結婚しようと望むのだが、シルビアは売春宿を営むカルメンの娘。一方のホセは下着メーカー社長の御曹司。
ホセを溺愛している母コンチータは、二人の結婚なんてとんでもない!と、認めようとはしない。

 

2人の仲を引き裂こうと画策したコンチータは、ハム業者の青年ラウル(ハビエル・バルデム)にシルビアを誘惑するようにそそのかす。
ラウルは下着メーカーのブリーフ着用モデルにも採用されたもっこり男(笑)。逞しいのだ。
お礼に何が欲しい? ホンダ600のバイク? いいわよ。上手くやるのよ。

 

はじめは強引につきまとうラウルを嫌っていたシルビア。
しかし、優柔不断なマザコン・ホセが煮え切らないものだから、いつしか逞しいもっこり男のラウルに惹かれていく。危ういなあ。

 

しかしスペインの男女模様なんてこんなものではないのである。
実はカルメンはかつてはホセの父親の愛人だったこともあるし、息子のホセもカルメンと情交している。
さらにコンチータがラウルにのぼせ上がって誘惑するのだ。これが年増女の手練手管よ。

 

シルビアはすっかりラウルに夢中になるし、ホセは未練がましくシルビアにすがりつく。
ラウルもいつしかシルビアに本気になるものだから、コンチータはシルビアに嫉妬する。さらに、なんとホセの父親もシルビアにちょっかいを出してくる。
おいおい、一体どうなるんだ?

 

それにしても17歳のペネロペ・クルスの可憐なことといったら!
体当たり演技で、惜しげもなく可憐な胸をさらけだしてくれる。
その美しさはミロのヴィーナスのそれに通じるような神々しささえ感じられるものだった。

 

そのペネロペを口説くハビエル・バルデムは典型的ないいかげん男役。
しかし、いまや怖ろしげな役の多い彼も若いころは美男子だった・・・?
ペネロペとハビエルが結婚したと知った時は、どうして美女と野獣が?と思ったものだったが、この映画ですでに共演していたんだ。

 

てんやわんやの物語なのだが、この監督、ところどころに詩情のあふれる映像も入れてくる。
薄暮の空を背景にした荒野を長距離トラックがつぎつぎに通り過ぎていく映像は、幾度となく挟み込まれる。美しい。
重そうな大きな鞄を持ったシルビアが、身体を傾けて田舎道をとぼとぼと歩く姿もよかった。
あの「鞄を持った女」のクラウディア・カルディナーレを思い出してしまった。

 

とにかくスペイン人の性的欲望が剥き出しになっている作品だった。
絡まり合った痴情のもつれの果てに、なんと骨付きハムで男二人が殴り合うという無茶苦茶な展開となっていく。

 

男も女も倫理感などふりすてて、みんな自分の欲望に素直。自己主張は凄いし乱れ具合も凄い。
正しいとか間違ってるとかはもうどうでもいいのだ。さすが情熱の国スペインである。
日本人の感覚からはぶっ飛んでいる映画だった。

 

あ、タイトルにある”ハモン”とはスペイン語で”好い女”ということらしい。
それにしても、今だったら17歳の少女にあんな演技をさせたら問題になるよなあ。

 

ベネチア映画祭で銀獅子賞を受賞しています。・・・どうしてこの映画が?(汗)。