2011年 日本 129分
監督:土井裕泰
出演:阿部寛、 新垣結衣、 中井貴一、 桃李
刑事サスペンスもの。 ★★☆
東野圭吾の原作の刑事捜査もの。
彼の小説の映画化はいったい何作目になるのだろうか。
人気原作なので、映画会社としては安心して一定の集客を見込みやすいのだろうか。
日本橋の翼のある麒麟像の下で男性の刺殺体が発見される。
被害者のバッグを持っていた容疑者は誰何された警官から逃げようとして車にはねられ、意識不明になってしまった。
被害者は、家族も首をかしげる無縁のこの場所でなぜ息絶えたのか?
容疑者は本当に犯人なのか?
主人公の加賀恭一郎(阿部寛)は、日本橋警察署に配属されたばかりの腕利き刑事。
シリーズ名の”新参者”というのは、加賀が、この地区にやって来たばかりの新参者です、と自己紹介するところから来ている。
日本橋界隈の情景が詳細にでてくる。
日本橋はときおり通るが、広重の東海道53次の版画にあるこの場所も、今は高速道路に覆われてしまっている。
その欄干(?)の麒麟像に翼があるということはこの小説で初めて知った。
事件に大きく関わってくる日本橋七天満宮めぐりを自分でもしてみたいと思わせられる。
田舎から上京してきて、この日本橋で新しい生活を出発させた貧しい若者のカップル。
家族と断絶しながらも、その家族への愛を貫いていた父親。
その父親の奇妙な行動の意味を知った息子の決心。
加賀は主役というよりも、事件の謎を紹介していく案内役のような立ち位置にいる。
主役はあくまでも事件の謎であり、加賀が巧い味付けになっている。
ほぼ原作通りの物語。
よく出来た物語なので、退屈することはなかった。
しかし、あまりにもその通りなので、映画ゆえの新しい魅力にも乏しかった。
だから、原作を楽しんだ人ならわざわざ映画を観る必要はないなあ、というのが正直なところでした。