あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「シルビアのいる街で」 (2007年)

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2007年 スペイン 85分
監督:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:グザビエ・ラフィット

妄想男の彷徨い。 ★★

 

あの「ミツバチのささやき」や「エル・スール」のビクトル・エリセ監督が絶賛したというので、鑑賞。
スペインの若き新鋭監督作だとのことだった。

 

舞台はフランスの古都ストラスブールドイツ国境に近い位置らしい。
市内電車がゆっくりと走る石畳の街並みは美しく、道端のカフェの様子もお洒落そのもの。
まるで観光プロモーション・ビデオを観ているような気になってくる。
それというのも、事件らしいものは何も起きない85分なのだ(苦笑)。

 

冒頭、ベッドの上に座った青年(グザヴィエ・ラフィット)の姿が映る。
地図を眺めて街の様子を確認したりする様が4分間ぐらい、なんのセリフもなく映る。
なんだ、こりゃ?

 

やがて青年はカフェテラスで行きかう人々を眺める。
青年はビールを飲みながらあたりの女性をノートにスケッチする。
そしてカメラはその様子を、延々となんの説明もなしにただ写し続ける。
なんだ、こりゃ?

 

あらかじめの情報として、何も起きない映画だということは知っていた。
そのことを知っていてよかった。
でなければ、いつまで観ても何も起きないので、あれ?と思うところだった。

 

やがて青年が6年前に一度会ったきりの女性シルビアを探してやってきたことが判ってくる。
シルビアの面影を求めて、それで青年は目に留めた女性のあとをつけたりもする。
それもかなり執拗にあとを追う。

おいおい、それじゃまるでストーカーじゃないか。
(柔らかい髪が風になびいているような美青年だから許されてしまうかな?)

 

街を過ぎるいろいろな人も画面に捉えられる。
足の悪い花束を抱えた男性がゆっくりと去っていく。この男性は何度も画面にあらわれる。
ベルトやライターを売りつけようとする男も、何度も登場する。
ときには、主人公が角をまがって去っていった路地を、そのまま延々と写し続けたりもする。

 

青年はシルビアにめぐり会うことはない。
そもそもシルビアなる女性が本当にいたのかどうかもあやふやになってくる。
青年の妄想ではないのか、彼はその妄想を追い続けているだけではないのか。

 

何事も起こらなかった街並みが映る、路面電車がゆっくりとまがっていく。
そして映画は終わる。
滅茶苦茶はまって絶賛する人が2割、なんだこれは?と思う人が8割・・・。そんな風にも思える映画でした(汗)。