あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。1800本余りの映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ある愛へと続く旅」 (2012年)

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2012年 イタリア 129分
監督;セルジオ・カステリオット
出演;ペネロペ・クルス

愛をたしかめる旅。 ★★★☆

哀しいなどということを通り過ぎてしまったような愛の物語。
外国ではあちらこちらでさまざまな戦争、内戦が起こっている。
この映画の背景にあるのは90年代のボスニア紛争

ものすごい映画「アンダーグランド」でも描かれていたユーゴスラビアの崩壊。
この地にはムスリムセルビアクロアチアの3つの民族が住んでいたようで、ユーゴスラビアの崩壊後は、それぞれの民族の思いからくる対立が紛争につながったようだ。
その紛争地となったサラエボに留学していたイタリア人女性、ジェンマ(ペネロペ・クルス)が主人公。

サラエボに住む旧友ゴイゴの誘いによって、ジェンマは16歳の息子と一緒に思い出の地を訪ねる。
映画は現在の様子と、16年前の出来事が交互に映し出されてすすんでいく。
ペネロペ・クルスは20歳代と50歳代の両方を演じ分ける。
老けメイクで堂々としているペネロペも大したものだ。

若かった日にジェンマはサラエボで報道カメラマンのディエゴと知り合い、恋に落ち幸せな結婚をする。
しかしジェンマは不妊症だった。
悩んだ二人は養子を取ろうとするが、ディエゴの薬物中毒の履歴のためにそれも出来ない。
二人が取った選択はディエゴの精子を使って、ゴイゴが紹介してくれたある女性に子供を産んでもらうことだった。

その女性アスカは金銭さえもらえば自分が産む子供に未練はないという。
人工授精で妊娠をするはずだったのだが、銃撃戦が激しくなる情勢下ではそれも不可能となってしまう。
悩むジェンマ。究極の選択として、戦火の中でディエゴとアスカは実際に性交渉をおこなって妊娠することを試みる。

不穏な緊迫した情勢が続く中で、ディエゴは妊娠して次第におなかが大きくなっていくアスカを気遣う。
自分も納得しておこなったことだと思いながらも精神が不安定になっていくジェンマ。
戦火の中で子供が生まれ、ジェンマと赤ん坊はやっとの事で国外へ逃れるが、ディエゴは出国できずにアスカとともにサラエボに残る。
それがジェンマとディエゴの別れだった。

戦時下で激しく揺れ動いた愛の物語かと思って観ていたのだったが、そんなものではなかった。
戦争というのはもっともっと惨いことを人に突きつけてくるのだった。

ゴイゴとの再会、そしてアスカとの思いがけない再会。
そしてアスカがジェンマに語る物語。そんなに辛い物語だったのか・・・。

アスカの首のうしろに残る薔薇の刺青の意味が判ったときには、言葉にならない衝撃を受けた。
あのときにディエゴがとった行為は致し方なかったことだとしても、彼は自分を責め続けたのだろう。

みんな、必死に生きてきただけなのに、戦争のせいで辛い人生を送らざるをえなかった人々がいた。
波の上にあらわれるタイトルが、最後では赤い色になって流れていくのが、血のようでもあり、薔薇の花びらのようでもあった。