2008年 アメリカ 145分
監督:ジョン・ウー
出演:トニー・レオン、 金城武、 リン・チーリン、 ビッキー・チャオ
歴史一大巨編。 ★★★
全64巻(だったかな?)の横山光輝の漫画「三国志」を何度も読み、吉川英治の小説「三国志」も読み、さらに光栄のゲーム「三国志」もやり尽くした三国志フリークであるからには、公開時にはいやが上にも期待をして観に行ったものだった。
監督がジョン・ウーというところがちょっとひっかかってはいたのだが。
長い「三国志」の物語の中で、本作が取り上げていたのは赤壁の戦い。
このPartⅠではその戦いにいたるまでを描いていた。
老婆心ながら、この映画はある程度三国志の知識を持っていたほうが良い。
劉備の蜀(未だこの時点では建国されていないが)、曹操の魏、孫権の呉、この三者の関係を知っておかないと、何が何やらということになりかねない。
ジョン・ウー監督はそのあたりの説明を一切してくれないのだ(おそらく中国では誰でも知っていることなのだろう)。
劉備とくれば関羽、張飛、超雲の3人の豪傑、それに軍師の孔明。
そして超雲が劉備の幼子を抱えて単身で曹操軍の中を駆け抜け、劉備の妻は井戸に身を投げて自害した、あたりもよく知られた逸話。
これも説明なしに展開されるので、ある程度の予備知識はあった方が楽しめる。
結論から言うと、期待したわりにはもう一つというのが正直なところだった。
再見しても感想としては同じところに落ち着く。
やはり三国志に対する個人的な思い入れがあるので、それとずれる部分があるだけ、不満がつのることになる。
さて。本作の主人公は劉備でも曹操でもなく、蜀の孔明と呉の周瑜。
二人が互いの力量を探り合うための琴演奏のバトルをするのだが、ここは見物だった、
まるで現代音楽のような演奏で、いくら何でも三国の頃にはあれはないだろうと思えるが、とにかく格好好かった。
力量を認め合った二人は協力して曹操の大群に立ち向かうことになる。
広大な平原での亀甲の陣の戦いは迫力があった。
関羽や張飛がそれぞれ登場してきてはその無双ぶりを見せてくれる。
ただ、ジョン・ウーの演出は、リアリティのある迫力を出そうとするあまりか、色彩が美しくない。
衣服はもう黒と茶色ばっかり。舞台はいつも砂埃だらけ。
これはチャン・イーモーの、美しさのためにはリアリティを犠牲にしてもいいだろう、という考え方とは対照的。
それにしても、トニー・レオンの兜姿は格好良くなかった。いささか滑稽なほど(汗)。
どうしてだろ? 金城武はいつも通りの少しにやけたような色男ぶりが良かった。
エンドロールで協力に中華人民軍というのがあったのにはびっくり。
どこまでが実際の人間の動員で、どこからがCGだったのだろうか。