1950年 アメリカ 93分
監督:ニコラス・レイ
出演:ハンフリー・ボガード、 グロリア・グレアム
心理サスペンス。 ★★☆
映画の脚本家ディックス(ハンフリー・ボガード)は、原作本のあらすじ口述のためにクラブのクローク係の女性を自宅に誘う。その女性がディックスの家からの帰途に殺害され、殺人の疑いがディックスにかけられる。
だが、向かいに住むローレル(グロリア・グレアム)が彼のアリバイを証明してくれ、これをきっかけに二人は愛しあうようになる。
恋人を得たことによって、スランプだったディックスは仕事も精力的にこなすようになる。
二人の幸せそうな生活が続くかに思える。
ハンフリー・ボガードは気障なぐらいに洒落ているし、グロリア・グレアムは初めて見る女優さんだったが、美人である。なんでも監督のニコラス・レイの恋人だったとのこと。
しかし、ディックスは、実は些細なことでも頭に血が上って衝動的に暴力をふるってしまう性格の持ち主だったのだ。
暴れた後に、はっと我にかえっては後悔をするのだが、なにか事があるとまた暴力をふるってしまう。
ついには恩人にまで腹を立てて殴りつけてしまう有り様。
それを目の当たりにするローレルは、彼を愛している一方で、もしかすれば、ホステスを殺したのはやはり激情にかられた彼ではないかとの疑いを押さえることができなくなってくる。
この映画の軸になるのは、衝動的に暴力をふるってしまうディックスの得体の知れない恐ろしい人間像と、それによって引き起こされてくるローレルの心理葛藤である。
彼を愛しているが故に無実を信じたいのだけれども、あの衝動的な性格をみていると殺人者であっても不思議ではない、と。
観ている側もローレルと一緒になって、ディックスは殺人者なのだろうか、それとも無罪なのだろうかと、最後まではらはらする。
派手さはありませんが、良質のサスペンスものです。