あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「あるいは裏切りという名の犬」  (2004年)

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2004年 フランス 110分
監督:オリビエ・マルシャル
出演:ダニエル・オートゥイユ、 ジェラール・ドバルデュー、 ミレーヌ・ドモンジョ

渋い雰囲気の警察もの。 ★★★☆

パリ警視庁の組織のなかで対立する二人の警察官の物語。
部下の信頼もあついレオ(ダニエル・オートゥイユ)は、犯人を逮捕するためには汚れたこともいとわないような直情さを持っている。
一方のドニ(ジェラール・ドバルデュー)は、権力志向が強く、そのためには仲間を陥れるようなことも平気でしてしまう。
かっては一人の女性をめぐって争った過去もあるようだ。

私が勝手に思っているだけかもしれないが、フランス映画には独特の渋みがある。
この作品は警察ものだが、アメリカ映画の警察ものによくみられる華やかさは全くなく、それとは異なる沈鬱な空気が全体をおおっている。
荒々しさもあるが、痛快なそれではなく、荒々しくすることによって自分の傷口の痛みを確認するようなところが感じられる。

連続して起きた現金輸送車強盗団の捜査をめぐっても、二人は対立する。
レオは犯人のアジトを突き止め、周到な準備のもとに逮捕に向かうが、その邪魔をしようとするドニの行動で作戦は失敗し、レオの部下も死んでしまう。

さらにドニは、レオが捜査のためにおこなった汚れた部分を密告して、レオを刑務所送りにしてしまう。
ドニの、これでもかという卑劣な行為が公の場では許され、逆に、正義のためにおこなったレオの行為が法の前で厳しく糾弾されてしまい、観ている者は歯ぎしりをする思いとなってしまう。

卑劣な敵の行為にじっと耐えるヒロイン。
このシチュエーションはなにかを思い出させるぞ。
・・・あ、そうだ、これは、かっての東映やくざ映画高倉健さんではないか(笑)。

高倉健さんの最後は、堪忍に堪忍を重ねていたヒーローがついに意を決して壮絶な殴り込みをかける、という展開がお約束だった。自らの死と引き替えの殴り込みだった。
おいおい、この映画もそうなっていきそうだぞ。
おいおい、ヒーローはどうなってしまうのだ?

ドニを演じたはジェラール・ドバルデューは、権力志向のための悪役なのだが、悪役が持たざるを得ない男の悲哀のようなものも感じさせていて、かなりの存在感であった。
主役のダニエル・オートゥイユ演じるレオも、完全な善人ではないところが、この映画に深みを与えていた。

原題は「オルフェーヴル河岸36番地」で、これはパリ警視庁の所在地で、なんともそっけないもの。
それに比べて邦題の「あるいは裏切りという名の犬」は、やけに文学的な言いまわしのものとなっているが、悪くない。かなり頑張っている。
これに便乗して邦題がつけられたものに、同じオートゥイユが主演の「やがて復讐という名の雨」がある。どんな作品なのだろうか?

重い感じの作品ですが、見終わったあとはホッとした感じです。