1947年 アメリカ 86分
監督:ウィリアム・ディターレ
出演:ジョゼフ・コットン、 ジェニファー・ジョーンズ
時を超えたラブ・ストーリー。 ★★★
貧乏な青年画家エブン(ジョゼフ・コットン)は、公園で不思議な少女ジェニー(ジェニファー・ジョーンズ)に出会い、その魅力に惹かれる。
ジェニーは「早く大人になるから待っていてね」と言い、何故か、そのご出会うたびにジェニーは急速に成長していく。はて?
60年以上も前に作られた意欲的な作品。
画面は意図的にキャンバス地のような粗いものとなっている。
幻想絵画を思わすような効果を狙ったのだろうか。
エブンが思い出すままにジェニーのデッサンをすると、画商がはじめて彼の才能を認めてくれるようになる。
しかし、ジェニーが忘れていったマフラーを包んでいた新聞紙は20年も前の日付のものだったりする。
調べてみると、ジェニーが語った両親はすでに死亡していたのだ。
そして、ジェニー自身も二人が巡り会うずっと前に、大津波にあって死んでいたことが判明する。はて?
こう書いてくると、まるで幽霊話のようだが、この作品のジェニーはまったくそんな雰囲気ではない。
彼に出会うために時空を越えてやって来たタイム・トラベラーといった感じである。
それは、ジェニーが決してよみがえった死者ではなく、あくまでも時空を越えて今を生きている者としての愛を彼に捧げているからだろう。
エブンは、なんとかジェニーを助けようと、大津波があったのと同じ日付けにその海に船を漕ぎ出す。
すると、今度はエブンが大津波の当日に時空を越えるのだ。
大津波の場面は、当然のことながらミニチュア・セットで撮られている。
どうしても、児戯のようなちゃちなものに見えるのは仕方がないところ。
(ただし、アカデミー特別効果賞を受賞している)
今の時代に戻ってきたエブンは、渾身の傑作としてジェニーの肖像画を完成させる。
その絵は美術館に展示されることとなるのだった。
映画はモノクロだが、最後の場面で、完成されたジェニーの肖像画はカラーで写される。
ジェニーの肖像画の美しさが素晴らしく映えていた。
ヒロインのジェニファー・ジョーンズは、成長してからは美しい女性でよいのだが、はじめに登場してきたときの少女姿は、かなり無理があったように思えた(汗)。
やはりあそこは子役でもよかったのではないだろうか。
作られた年代を考えれば、これは感嘆すべき作品。
後の多くの作品に影響を与えたとされています。
SF好き、ファンタジー好きなら、観ておいて損はしません。