あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「百年恋歌」  (2005年)

イメージ 1

2005年 台湾 131分
監督:ホウ・シャオシェン
出演:チャン・チェン、 スー・チー

恋物語のオムニバス。 ★★☆

第1話・恋の夢(1966年)では、兵役をひかえた青年が、田舎の小さなビリヤード場で働くひとりの女性と知り合う。職場を転々と変える彼女を追って、休暇がとれた青年は長距離バスに乗って旅をする。

バス旅の途中、地名の標識が次々と通り過ぎていくのが見える。
聞いたこともない地名ばかりだが、それがかえって旅愁のようなものを感じさせる。あの部分は秀逸であった。
やっと再会した二人はお互いに寡黙である。夜半過ぎて最終バスも出てしまい、二人はいつ来るのか判らないバスを停留所で待っている。
二人で一緒にいる時間がゆっくりと流れているのだな、という感じがあった。3話の中ではこれが一番よかった。

第2話・自由の夢(1911年)は遊郭が舞台。互いに惹かれあってる芸妓と、客の外交官だが、外交官は革命の夢を追って遊郭をあとにする。

この話はサイレント方式で、会話は字幕となってあらわれる。
だから観ている者はワン・テンポ遅れて二人の会話の内容を知ることになる。そのもどかしさが、二人の心情の歯がゆい曖昧さを象徴しているようであった。
映画にはあまり関係ないことだが、弁髪って観るたびに変な髪型だな思ってしまう。たぶん、外国の人が見たら日本のちょんまげも奇異に見えるのだろうけれど。

第3話・青春の夢(2005年)は、現代の若者の刹那的な、それゆえに激しい恋を描いている。
同性愛が出てきたり、主役の二人がカメラマンと歌手という職業だったりと、いかにも時代をあらわしたという狙いがみえてしまって、かえって3話のなかではもっとも平凡に思えた。

それぞれの話の物語性は希薄である。
恋の物語というよりも、恋物語のある情景を切りとってみせたという方が近いだろう。
どの話の2人の主役は同じ俳優が演じているのだが、それぞれの物語にはまったくつながりがない。だから映画自体の印象も非情に淡泊である。
たとえば主役の二人はそれぞれが生まれ変わりであるとか、結ばれなかった恋人たちの子ども達だったとか、そんな仕掛けをしても面白かったのではないかな。

一時は日本のTVでもよく見かけたスー・チーはとても魅力的である。
映画「クローサー」(香港映画の方)では美しい姉妹の殺し屋を演じていて、なかなかに良かった。

「動」はすくなくて、全体に「静」を感じさせる映画です。きれいな映画です。