2009年 アメリカ 125分
監督:トニー・ギルロイ
出演:クライヴ・オーウェン、 ジュリア・ロバーツ、
ポール・ジアマッティ、 トム・ウイルキンソン
産業スパイもの。 ★★★
社長同士(ポール・ジアマッティ、 トム・ウイルキンソン)がつかみ合いの喧嘩をするほどのライバル会社では、当然、産業スパイが暗躍する。
それぞれの会社に雇われて再会したのは、元MI6のレイ(クライヴ・オーウェン)と、元CIAのクレア(ジュリー・ロバーツ)。
ところがこの二人、ひょんな事から男と女の中になっていたのだが、誰がどちらのスパイなのか、騙しあいがはじまる。
サブタイトルは「スパイは、スパイに嘘をつく」。なるほど、巧くつけたものだ。
たしかに全編これ騙し、騙されで、どこまでが本物で、どこからが偽物なのか、よほど注意していないと混乱する。
(注意していても混乱する(笑)。私だけかと思ったら、他の人の感想でもそのようだったので安心した。)
人同士も騙しあうし、そんな人を使って組織同士も騙しあう。
そのために人は組織を騙そうとするし、組織もそうはいくかと裏をかいて人を騙そうとする。
主人公たちの場合、そこに恋や愛がからんでくるからなあ。さらに話はややこしくなる。
物語は現在の状況から始まるのだが、そこに5年前の主人公たちの因縁がはさみこまれる。
そうか、二人はそういった関係だったのか、と判ったつもりで観ていたら、今度は2年前のできごとが挟み込まれる。
あれ? そうすると、あの再会場面はどういうことだったんだ?
さらに14ヶ月前のできごとが語られたりして、二人の関係は二転三転。う~む、どうなっているんだ?
恋しているのか、それは嘘なのか。愛しているのか、それとも憎んでいるのか。
その行為は愛のためなのか、それとも仕返しのためなのか。
観ている方も気が抜けませんなあ。
会社にはちゃんと産業スパイ部門があるようで、チーム活動で相手の情報を収集したり解析したりしている。
そこの痩せた鼻眼鏡のおばあさんが切れ者で、なかなかに格好良い。てきぱきと指示を与えたりして、なかなかにやるなあ。最後まで、おお、やるなあ。
この手の映画は騙されなくては楽しくない。
登場人物たちが騙し、騙され、そして監督が騙して、私たち観客は騙されて。
映画自体のテンポも良く、あっという間に最後まで楽しめました。