2008年 アメリカ 108分
監督:デビッド・エア
出演:キアヌ・リーブス、 フォレスト・ウイティカー、 クリス・エヴァンス
★★☆
ロス市警の刑事トム・ラドロー(キアヌ・リーブス)は、強引な手段も辞さずに悪人を逮捕するような一匹狼。妻との辛い過去があり、アルコール中毒でもある。
映画の冒頭にいきなり、トムの性格をあらわすような囮捜査の場面があり、引き込まれる。上手い出だしである。
キアヌ・リーブスは、私にはどちらかといえば沈着冷静な、いつもどこか冷めているクールなイメージがあった。
だから、この映画のような激情にかられて無茶をするという役どころは、ちょっと意外であった。
ある日、警察の内部調査に手を貸していたトムのかつての相棒が、強盗事件に巻き込まれる。
偶然にその場に居合わせたトムは、犯人を挙げるべく独自で捜査を進めるのだが・・・。
正義のためにはルールも無視と、無茶ばかりして周囲からは冷たく見られるトムだが、そんな彼を、お前のようなやつが必要なんだと言って、終始かばってくれる上司役がフォレスト・ウイティカー。
さすがに存在感があるなあ。
物語が大筋に入り、さすがにウイティカーという役どころを演じてくる。
決して悪い出来ではない。
正義とはなんなのだろうか、正義とは誰にとっての正義なのだろうか、ということを考えさせる展開はお見事である。
正義のためには悪も許されるのか、といった問題提起もしてくる。
だから、どこかで見たような筋書きといえばそうなのだが、この映画だけを観たのであれば、満足のいく出来で、もっと評価も高くなっていただろう。
しかし、なんといっても、同じジェームズ・エルロイの原作ものである名作「LAコンフィデンシャル」がある。
どうしてもあれががちらついてしまい、終盤になると、なんだ、結局あれと同じパターンではないか、と思えてしまう。
そういうことで、評価としては低めとなってしまう。
悪くはないのだが、あまり印象には残らない作品となってしまった。惜しいな。