あきりんの映画生活

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「愛のはじまり」 (2002年)

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2002年 フランス 125分
監督:レティシア・マッソン
出演:イザベル・アジャーニ、 サミー・フレイ、 サミー・ナセリ 

孤独な男女の出逢い。 ★★★☆

冒頭から女(イザベル・アジャーニ)の行動は突拍子もない。
店先から本を万引きするわ、サングラスを万引きするわ。ニースへ向かう列車の中で話しかけてきた男性には高飛車に対するわ。
なんだ、この女? 
偽名を使っては宝飾店やホテルでの仕事口を探すが、どこでも断られてしまう。まあ、うさんくさいよなあ。

行き場のない女は、海岸通りで裸足になったかと思うと、ラジカセを片手に突然踊りだす。
黒いロングスカートに黒いサングラス。人々の好奇の眼差しなぞ全く気にせずに自己陶酔してしなやかにのけ反り、軽やかにステップを踏んで、見事に、延々と踊り続ける。
なんだ、この女?

やがて、奇妙な提案をしてくる初老の紳士と知り合うのだが、主人公たちの内面はほとんど語られない。
ただその脈絡にも乏しいような奇異な行動から推測するだけである。

紳士役のサミー・フレイは初めて見たのだが、孤独の影が表情全体を被っていて、渋い。
なぜか女を追ってくる謎の男にサミー・ナセリ。そう、あの「TAXI」の運転手。こういう役もやるんだなあ。

物語はとりとめもなくすすんでいき、主人公たちはモロッコにまで行くのだが、その過程は地についていないような感じがする。
主人公たちの行動に論理的なところはなくて、どこか非現実的で、ふわふわとたよりない。
しかし、それがアジャーニの発散する奇妙な、終始夢見ているような、現実感の乏しい雰囲気によく合っていた。

監督がそこまで狙って物語を組み立てていたのだとすると、それはすごいことなのだが、偶然にアジャーニの持ち味と一致しただけなのかもしれない。
とすれば、それはそれですごいことだ。本来は凡庸になるはずだった映画が稀有なものになったことになる。

伝説の女優とか、白痴美で一世を風靡したとか言われているアジャーニについてはあまり知らなかったので、経歴を調べてみた。
驚いた! 30歳代前半ぐらいかと思ってみていたこの映画のとき、なんと彼女は47歳だった。えっ!?
超アップに耐える肌の感じ、無駄なところがなく均整の取れた姿態。すごい。

行きずりに参加した他人の結婚式で、アランドロンに似た青年と(彼の息子ではないかと思ったほど目元がドロンにそっくりだった)甘美に踊るのだが、アジャーニが少女の雰囲気を残しているので全く違和感がない。すごい。
カリオストロ伯爵夫人(映画「ルパン」参照)ではないが、不老不死ではないのか(笑)。

とにかく、徹頭徹尾、イザベル・アジャーニの映画でした。