あきりんの映画生活

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「アンドロメダ…」 (1971年)

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1971年 アメリカ 130分
監督:ロバート・ワイズ
出演:アーサー・ヒル、 デヴィッド・ウェイン

未知の細菌感染もの。 ★★★

SF映画だが、これも宇宙はまったく出てこない。
逆に地下室の中でほとんどすべての物語が展開する。
タイトルのアンドロメダとは、宇宙からの隕石に付着してきた致死性の細菌につけられた名称。

この正体不明の菌の感染汚染に、人類がいかに立ち向かうかの5日間の物語。原作はマイケル・クライトン

この作品はとてもコンパクトに作られている。
冒頭から、いきなり細菌により住民が死滅した村の様子が描かれる(実際には2人の生き残りがいたのだが)。
このような恐ろしい細菌の感染ものというと、パニック映画になりがちだが、これは無駄な部分をいっさい取り払って、とても理知的に物語がすすむ。

さて、人類としては未知の細菌を同定して、その特性を明らかにして、そのうえで対処法を見つけなくてはならないわけだ。
そのために地中に作られた大がかりな感染対策施設が舞台。

選ばれた4人の科学者が対応にあたるのだが、まずは彼らの殺菌を徹底的にしなければならない。
不純な菌が持ち込まれては、それこそ未知の菌はなになのか分からなくなってしまう。

人間の身体がいかに細菌に汚染されているものなのかということを、つくづく思い知らされる。
施設の地下に一層づつ降りるたびに消毒作業がくり返され、次第に無菌状態に近づけていく。
その間には食事、飲水も完全滅菌されたものばかりを摂取しなければならないし、大腸菌のように体内に寄生していた細菌も排出しなければならない。

このあたりは非常にリアルに描かれる。
そのために、そんな面倒くさいことはいいから、早く物語をすすめてくれという人には冗長ととられるかもしれない。

科学者たちはそれぞれが細菌や医学のエキスパートで、地道に仕事をすすめるのだが、その様子は真に迫っている。
アクションもなく、ひたすら殺菌処理と、アンドロメダの細菌特性を調べる検査に終始する。
しかし、退屈なことは全くない。
その地味なリアルさがかえって緊迫感を出している。

(以下、ネタバレが混じります)

宇宙から来た細菌だから、地球上の通常の方法では退治できない(核爆発でも駄目なんなんだよなあ)。
でも、宇宙から来た細菌だから、ほら、侵略してきた無敵の火星人と似たような弱点を持っていたわけだ(笑)。

終盤はちょっと話を急いでまとめすぎたかなという感じがしないでもない。
でも、40年近く前のSFで、いま観ても古さを感じさせないこれだけの映画というのは大したものです。

(余談)
あれだけの殺菌をしたら、口内細菌もいなくなって、わたしの虫歯もこれ以上悪化することはないのだろうか?