あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「イカリエXB-1」 (1963年)

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1963年 チェコスロバキア 88分
監督:インドゥジヒ・ポラーク

1963年宇宙の旅 ★★☆

 

キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」が公開されたのは1968年だった。
50年近く前のことで、当時は、未来ではこんな風に宇宙へ出かけるのか、と思ったものだった。
その2001年をちょうど20年過ぎた今、地球では宇宙どころではない事態となっている。
そんな時にこそ宇宙を彷徨ってみるか・・・。

ということで、キューブリックにも影響を与えた作品、といううたい文句に惹かれて鑑賞。
2001年宇宙の旅」の5年前の作品である。

 

2163年、宇宙船イカリエ-XBは生命探査の旅へと出発する。
乗り組み員は若者から初老のまでの男女40人。
目的地は地球とよく似た環境の惑星が期待されるアルファ・ケンタウリ星系。
さあ、どんな旅が彼らを待っているのだ?

 

モノクロで画面はなつかしい雰囲気のもの。
宇宙空間も宇宙船も手作り感がいっぱいで、今観れば愛敬さえある。
それもそのはずで、人形アニメサンダーバード」や、TVドラマ「スタートレック」の放送開始よりも、さらに数年前の作品。

 

乗組員には身重の妻を残してきた者もいるし、新しい恋が芽生える若者たちもいる。
長い年月をかけての旅なので、船内のリクレーション設備もある。
広いトレーニング・ジムでは筋トレにいそしんでいるし、時折はダンス・パーティも開かれる。
ここでのダンスが何とも奇妙な振り付けのもの。未来のダンスってこんな風じゃないかなと想像力をたくましくしたのだろうなあと思わせてくれて、微笑ましい。

 

宇宙船での新しい生命の誕生も起こったりもする。
そして、かって同じように宇宙探査の旅に出て、そのまま遭難した宇宙船と遭遇したりもする。
その宇宙船の中には乗組員の死体しか残されていなかった。

 

こういった映画では、どのような未知の宇宙での出来事に遭遇するか、が大きな要素となる。
そして、それに対応する人々の有様はリアル感に満ちていなければならない。
この奇想天外な出来事と、真実みのある人間性、この両者のバランスが必要なのだろう。
成功しているSF映画はこのあたりが上手くできているわけだ。

 

さあ、彼らはどうなったのか。
(以下、結末に触れます)

 

彼らの前に出現したのはブラック・スター。
その暗黒星からは膨大な放射線がでており、乗員すべてが意識を失う危機に陥る。
とそのとき、そのブラック・スターとの間に放射能を遮断する”壁”があらわれる。
おお、この壁のおかげで助かったぞ。いったい誰がこの壁を使って我々を助けてくれたのだ?

 

宇宙船の名前は、あのギリシア神話イカルスから来ているとのこと。
しかしこのイカリエXB号は希望と共にアルファ・ケンタウリスに向かっていったのだ。
SF映画が好きな人でしたら、その初期作品として観ておいて好い作品でしょう。