2009年 アメリカ 138分
監督:リドリー・スコット
出演:レオナルド・ディカプリオ、 マーク・ラファロ、 ベン・キングスレー、 エミリー・モーティマ
謎解きサスペンス。 ★★★☆
「ミスティック・リバー」と同じ原作者の作品なので、映画全体にサイコっぽい謎が充満している。
時代は第二次世界対戦終了直後。なにか、うす暗い影を引きずっていた時代だ。
主人公はナチスのユダヤ人捕虜収容所の開放を経験していて、妻子を火事で失っているという具合に、いくつものトラウマを抱えている。
そして舞台は、精神を病んだ犯罪人ばかりを集めた孤島である。
これでおどろおどろしくならないはずがない。
鍵のかかった病室から失踪した女性患者の捜査のために島へやって来る連邦保安官がレオナルド・ディカプリオ。
すっかり中年の落ち着きを身につけたが、どことなくあの映画の当時の童顔が残っているのが微笑ましい。(この映画では微笑ましい役柄ではないのだが)
偏屈で慇懃無礼な病院長がベン・キングスレー。
この人は出てくるだけで、もうどうしようもないほど胡散臭い。上手いなあ。
はじめてコンビを組む相棒と一緒にディカプリオは捜査を進めるのだが、島の住人はみんなで何かを隠そうとしているような雰囲気もある。
何故だ? そして、何を?
島を襲う嵐、断崖の向こうに建っている灯台、謎めいた人々の表情・・・。
緊張を保ったままに物語が展開していく。
謎解き、と書いたが、最後に明かされる真実は、勘ぐり深い人にはあまり通用しないどんでん返しかもしれない。
うがって考えれば、そういう風に主人公が思い込むように仕掛けられた罠、とまで考えられないこともない。
しかし、そこまでいくには映像の伏線に無理があっただろうなあ。
しかし、それらを別にしても、巧みなイリュージョンとして充分に楽しむことができた。
ネタを承知の上で2度目に観ても、面白いかもしれない。
それだけの作り方にはなっている映画だった。