監督:アレハンドロ・G・イリャニトゥ
出演:レオナルド・ディカプリオ、 トム・ハーディ
大自然の中での復讐劇。 ★★★
前年に「バードマン」でアカデミー賞を獲ったアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督作。
レオナルド・ディカプリオが念願の主演男優賞を初受賞したということで、超話題にもなった作品。
物語はとても単純明快。
性悪な男によって目の前で息子が殺され、自身は極寒の地に置き去りにされた男の復讐物語。
厳しい大自然の中でのサバイバルの様子もリアルに描かれる。
だから台詞も少ない。
すべては役者の表情や演技、それに自然景観の映像で見せてくれる。
舞台は1820年代。
アメリカが独立して30~40年が経った頃で、先住民(いわゆるインディアン)との争いもまだあちらこちらであったようだ。
グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、先住民の妻との間にもうけた息子と一緒に毛皮ハンターチームに参加していた。
グラスは土地にも詳しく、ガイドとしての役も担っていたのだが、彼はグリズリー襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。
グラスを看取る役を引きうけたフィッツジェラルド(トム・ハーディ)は、身体を動かせないグラスの目の前で息子を殺し、未だ生きているグラスを生き埋めにしてしまう。
何という奴だ、この恨みはらさでおくものかっ!
ここからが凄まじい。
瀕死の身体で雪の上を這いずり進むグラス。
飢えをしのぐ為に生のレバーを食べ、寒さをしのぐ為に死んだ馬の内臓をくりぬいた中に入る。うへぇ。
徹底的に男の映画である。
甘さも感傷も、雪と氷の世界ではすべて凍りついて許されないとでもいった感じ。
さて、復讐劇はどうなったのか・・・。
観ていて一番違和感があったのは、ダラスの肉体的な回復ぶりがあまりにも早かったこと。
いくら何でもあれはないだろ。
そのために自然の怖ろしさのリアルさは充分に伝わってきたのだが、主人公の身体を使っての行動には、残念ながらあまりリアリティを感じることができなかった。
2時間半越えのこの映画。
たしかに迫力は満点で、飽きることなく観ることができた。
しかし、ディカプリオにアカデミー賞をあげるのだったら、なにもこの映画でなくてもよかったのに、とも思ってしまった(汗)。