あきりんの映画生活

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「大統領の理髪師」 (2004年)

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2004年 韓国 116分
監督:イム・チャンサン
出演:ソン・ガンホ

政治批判のコメディ?? ★★

1960年代の韓国。大統領官邸のある町で理髪店を営むソン・ハンモは、ふとしたことから大統領の理髪師に選ばれてしまう。
一般市民の典型である市井の理髪師が、”雲の上の存在”であった大統領に近づく生活を始めたことによる物語である。

現在の韓国がどうなのかは知らないのだが、当時の韓国は、私の想像を遙かに超えた独裁国家だったようだ。
大統領直属の中央情報部員は拳銃を一般市民に突きつけるし、大統領を侮辱するような言動があると(たわいもないことで)、権力側は市民を平気で袋だたきにしたりする。
フィクションとの断り書きがあったが、大統領はどうみても朴正熙そっくり。
(最後の方で出てくる禿頭の新大統領は全斗換だろうな)。

シリアスなドラマか、あるいは人情ドラマかと思って観はじめたのだが、なんだか、狙い所がはっきりしない作品だった。
しだいに荒唐無稽な展開になっていく。
これってブラック・コメディだったのか? それにしてはあまりにも深刻すぎる。どうなのよ。

情報部に拷問を受けた息子は、その後遺症で歩けなくなってしまう。
なんとかして息子の足を元へ戻してやりたい父は、息子を背負って国中を彷徨う。
そして、ある仙人のお告げがあり、ある日、奇跡が起こる。
(”龍の目”が中国で、”菊の花”が日本の暗喩だとすれば、歩けなくなっていた韓国がその二国のおかげで歩けるようになった、ということ? まさか、そんなことではないのだろうなあ。)

庶民の目から見た当時の政治情勢への風刺があるととらえればよいのだろう。
そういう意味では、つい先頃の自国の権力に対する検証精神を評価したいところだが、どうも映画全体のまとまりがない。

いったい、何を描きたかった映画なのだろう?